大和物語
同じ女1)、のちに兵衛の佐師尹(もろただ)2)に逢ひて、詠みておこせたりける。風吹き、雨降りける日のことになん。
こち風はまた日ぐらしに吹くめれど雨もよにはたよにもあらじな
と詠みたりけり。
兼輔中納言四男天慶九年十二月蔵人 右兵衛佐天暦元年十月叙/d11r
おなし女のちにひやうゑのすけもろ たたにあひてよみておこせたりける かせふきあめふりける日のことに なん こちかせはまたひくらしにふくめ れとあめもよにはたよにもあらしな とよみたりけりひやうゑのすけは/d11l