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大和物語

第38段 先帝の五の皇子の御むすめは一条の君といひて・・・

校訂本文

先帝1)の五の皇子2)の御むすめは、一条の君3)といひて、京極の御息所の御もとにさぶらひ給ひけり。

よくもあらぬことありて、まかで給ひて、壱岐(ゆき)の守の妻(め)にていますとて、

  たまさかに問ふ人あらばわたのはら歎きほにあげて往ぬと答へよ

翻刻

先帝の五の御この御むすめは一条の
きみといひて京こくの宮す所の御
もとにさふらひたまひけりよくも/d20l
あらぬことありてまかてたまひてゆき
のかみのめにていますとて
  たまさかにとふひとあらはわたの
  はらなけきほにあけていぬとこたえよ/d21r
1)
清和天皇
2)
貞平親王
3)
第13段参照