大和物語
良少将1)、太刀の緒にすべき革を求めければ、監の命婦なん、「わがもとにあり」と言ひて、久しく出ださざりければ、
あだ人のたのめわたりしそめかはの色の深さを見てややみなん
となんいへりければ、監の命婦、めでくつがへりて、求めてやりけり。
良少将たちのをにすへきかはをもと めけれは監の命婦なんわかもとにあ りといひてひさしくいたささりけれは あたひとのたのめわたりしそめ かはのいろのふかさをみてややみなん となんいえりけれは監のみやうふめて くつかえりてもとめてやりけり/d15r