「仏・神の助けにや」と、思ひがけす行きあひたりしかども、あまりの嬉しさに、心騒ぎして、日ごろ思ひしことも思ふばかり言はれぬほどに、夜も明けがたになりしかば、急ぎ帰るとて、有明の月くまなく澄みのほりたる影に、まばゆきさまにて行きし姿の、いかならむ世に忘れなんと、いふかたなくて、
続1)
たまさかにわが待ちえたる月なればおぼろげならぬ有明の影
ほとけ神のたすけにやと おもひかけすゆきあひたり しかともあまりのうれし さにこころさはきしてひ ころおもひしことも思ふは かりいはれぬほとによもあけ かたになりしかはいそき かへるとてありあけの月く まなくすみのほりたるかけに/s25l
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まはゆきさまにてゆきし すかたのいかならむよに わすれなんといふかたなくて 続 たまさかにわかまちえたる月なれは おほろけならぬありあけのかけ/s26r