醒睡笑 巻8 頓作
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三藐院殿(さんみやくゐんどの)1)へ、春可、祗候(しこう)して侍りし。御庭前(ごていぜん)の桜、やうやく開くあり。「一句つかまつれ」と仰せあれば、
かすむ目に通すや針の糸桜
と申したれば、「さらば、われも、
咲かぬ間を待つやしんく2)の糸桜
一 三藐院殿へ春可祗候して侍りし御庭 前の桜漸ひらくあり一句仕れと仰あれは かすむめにとをすやはりの糸桜 と申たれはさらは我も さかぬまをまつやしんくの糸桜/n8-28l