無名抄
俊恵秀歌
1)そのついでに、「わが歌の中に、
み吉野の山かき曇り雪降れば麓(ふもと)の里はうちしぐれつつ
これをなん、かのたぐひにせんと思ひ給ふる。もし、世の末におぼつかなく言ふ人もあらば、『かくこそ言ひしか』と語り給へ」とぞ。
なりとそそのつゐてにわか哥の中に 俊恵秀歌 みよしのの山かきくもりゆきふれは ふもとのさとはうちしくれつつ これをなんかのたくひにせんとおもひ給ふるもし 世のすゑにおほつかなくいふ人もあらはかくこそいひ しかとかたり給へとそ/e50r