古今著聞集 飲食第二十八
法性寺殿1)、元三(くわんざん)に皇嘉門院2)へ参らせ給ひたりけるに、御果物を参らせられたりけるに、おこしごめを取らせ給ひて、参るよしして御口のほどに当てて、握り砕かせ給ひたりければ、御上の衣(きぬ)の上に、はらはらと散りかかりけるを、うち払はせ給ひたりける、いみじくなん侍りける。
法性寺殿元三に皇嘉門院へまいらせ給たりけるに 御くた物をまいらせられたりけるにをこしこめをとらせ 給てまいるよしして御口のほとにあててにきりくた かせたまひたりけれは御うへのきぬのうへにはらはらと/s491r
ちりかかりけるをうちはらはせ給たりけるいみしく なん侍ける/s491l