古今著聞集 哀傷第二十一
二条院1)かくれさせ給ひて、中納言実国卿2)、白河宮に参りて見参らせけるに、故院にあさましく似参らさせ給ひたりければ、あはれに覚えて、次の日、前左衛門督公光卿3)のもとへ申し送りける、
みしまえのたづのけしきぞなつかしき慣れし雲居に思ひなされて
二条院かくれさせ給て中納言実国卿白河宮にまいり て見まいらせけるに故院にあさましく似まいらさせ給 たりけれはあはれにおほえてつきの日前左衛門督公光卿 のもとへ申をくりける みしま江のたつのけしきそなつかしきなれし雲井に思なされて/s363r