古今著聞集 偸盗第十九
鞍馬詣(くらままうで)の者の、「夕暮に市原野を過ぎけるに、盗人に行き合ひて、着たるもの剥ぎ取られて、あまつさへ傷を負ひて侍る」と人の語るを聞きて、慶算が詠み侍りける、
夕暮れに市原野にて負ふ傷はくらまぎれとや言ふべかるらん
鞍馬まうてのものの夕暮に市原野をす きけるに盗人に行あひてきたる物は きとられて剰きすを負て侍と人の かたるをききて慶算かよみ侍ける/s346l
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/346
ゆふ暮に市原野にておふきすはくらまきれとやいふへかるらん/s347r