古今著聞集 和歌第六
少将隆房1)、賀茂の祭の使勤めけるに、車の風流よく見えければ、またの朝、大納言実国2)、父の大納言隆季3)のもとへ申し送り侍る、
色深き君が心の花散りて身にしむ風の流れとぞ見し
返し、
子を思ふ心の花の色ゆゑや風の流れも深く見えけむ
少将隆房賀茂祭使つとめけるに車の風流よく見えけれは 又の朝大納言実国父の大納言隆季のもとへ申をくり侍る 色ふかき君か心の花ちりて身にしむ風のなかれとそ見し/s149r
返し 子を思心の花の色ゆへや風のなかれもふかくみえけむ/s149l
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