古今著聞集 神祇第一
延久二年八月三日、上総国一の宮1)の御託宣に、「懐妊の後、すでに三年に及ぶ。今、明王2)の国を治むる時に臨みて、若宮を誕生す」と仰せられけり。
これによりて、海浜を見ければ、明珠一果ありけり。かの御正体に違ふことなかりけり。不思議なることなり。
延久二年八月三日上総国一宮の御託宣に懐妊ののち すてに三年にをよふ今明王の国をおさむる時にのぞ みてわか宮を誕生すと仰られけりこれによりて海浜 をみけれは明珠一果ありけり彼御正体にたかふことなか りけりふしきなる事也/s15l
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