こうやさんおうじょうでん
文治3年(1187)から建久5年(1194)ごろ成立したと考えられる仏教説話集。高野山の念仏聖38人の伝記を収録する往生伝。
延宝5年(1677)刊行の版本の序によると、元暦年間(1184〜1185)に高野山に入山した法界寺沙門如寂が書いたことになっているが、信憑性が薄く、作者は不詳。
高野山の念仏聖38人の往生にいたる伝記を、寛治7年(1093)没の沙門教懐から文治3年(1187)没の大乗房証印まで没年順に配列してある。
このうち、清原正国・維範・蓮待が『拾遺往生伝』に、教懐が『後拾遺往生伝』に、上人無名(南筑紫)・北筑紫上人信明が『三外往生記』に収録されており、それらの記述とほぼ同じである。