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text:yomeiuji:uji195 [2014/04/22 14:06] – 作成 Satoshi Nakagawatext:yomeiuji:uji195 [2025/06/29 11:15] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
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 +宇治拾遺物語
 ====== 第195話(巻15・第10話)秦の始皇、天竺自り来る僧、禁獄の事 ====== ====== 第195話(巻15・第10話)秦の始皇、天竺自り来る僧、禁獄の事 ======
  
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 **秦の始皇、天竺自り来る僧、禁獄の事** **秦の始皇、天竺自り来る僧、禁獄の事**
  
-いまは昔、もろこしの秦始皇の代に、天竺より僧渡れり。+===== 校訂本文 =====
  
-御門あやしみ給て、「これは、いかなるものぞ。何事によりて、来れるぞ」。僧申て云、「尺迦牟尼仏の御弟子也。仏法をつたへんために、はるかに西天よりきたり渡れるなり」と申ければ、御門はらだち給て、「その姿、きはめてあやし。頭のかみ、かぶろなり。衣のてい、人にたがへり。仏の御弟子となのる。仏とはなにものぞ。これはあやしきものなり。ただに返すべからず。人屋にこめよ。今よりのち、かくのごとくあやしき事いはんをば、ころさしむべき物也」といひて、人屋にすへられぬ。「ふかくとぢこめて、をもくいましめてをけ」と宣旨くだされぬ。+[[uji194|<<PREV]] [[index.html|『宇治拾遺語』TOP]] [[uji196|NEXT>>]]
  
-人屋つかさ者、宣旨のままに、をもく罪あるをく所にこめてをきて、あまじやうさしつ僧、「悪王逢て、かくかなしき目をみるわが本師、尺迦如来滅後なりともあらたにみ給我を助給へ」念じ入たるに、尺迦仏、丈六御姿にて紫磨黄金光をはちて、空よ飛きたり給て、この門を踏やぶりて、此僧をとりてさり給ぬ。+今は昔、唐土秦始皇((始皇帝))に、天竺より僧(([[:text:k_konjaku:k_konjaku6-1|『今昔語集』6-1]]では「釈利房」。))渡れり。帝(みかど)、怪しみ給ひて、「これはいかなる者ぞ。何事よりて来れるぞ」。僧申していはく、「釈迦牟尼仏の御弟子なり。仏法を伝へんために、に西天より来たり渡れるり」と申ければ、帝、腹立ち給ひて、「その姿はめて怪し頭の髪禿(かぶろ)なり。衣の体人に違(が)へり。仏の御弟子と名乗る。仏とは何者ぞ。これは怪しき者なり。ただ返すべか獄(ひや)こめよ。今より後かくごとく怪しきこと言はん者をば殺さしむべきものなり」と言ひて、獄にすゑられぬ。「深く閉ぢこめて、重くいましめ置け」と宣旨下。人屋の司の者、宣旨のままに、重く罪ある者置く所にこめて置きて、戸にあまた錠(ぢやう)さしつ
  
-そのつでに、おほくの盗人ども、みな逃りぬ。獄の司、空にりければ、でてるに、金の色したる僧の、光をはなちたるが、大さ丈六なる、空より飛りて、獄の門を踏破て、こめられたる天竺の僧を取て行をとなりければ、このよしを申に、御門、いみじくおぢおそり給けりとなん。+この僧、「悪王にあひて、かく悲しき目を見る。わが本師釈迦如来、滅後なりとも、あらたに見給ふらん。われを助け給へ」と念じ入りたるに、釈迦仏、丈六の御姿にて、紫磨黄金(しまわうごん)の光を放ちて、空より飛び来たり給ひて、この獄門を踏み破りて、この僧を取りて去り給ぬ。 
 + 
 +そのつでに、くの盗人ども、みな逃げ去りぬ。獄の司、空にの鳴りければ、でてるに、金の色したる僧の、光をちたるが、大さ丈六なる、空より飛来たりて、獄の門を踏て、こめられたる天竺の僧を取て行く音なりければ、このよしを申に、、いみじく怖()恐(おそ)り給けりとなん。 
 + 
 +その時に渡らんとしける仏法、世下りての漢には渡りけるなり。 
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 +[[uji194|<<PREV]] [[index.html|『宇治拾遺物語』TOP]] [[uji196|NEXT>>]] 
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 +===== 翻刻 ===== 
 + 
 +  いまは昔もろこしの秦始皇の代に天竺より僧渡れり御門あや 
 +  しみ給てこれはいかなるものそ何事によりて来れるそ僧申て云 
 +  尺迦牟尼仏の御弟子也仏法をつたへんためにはるかに西天より 
 +  きたり渡れるなりと申けれは御門はらたち給てその姿きはめて 
 +  あやし頭のかみかふろなり衣のてい人にたかへり仏の御弟子と 
 +  なのる仏とはなにものそこれはあやしきものなりたたに返す 
 +  へからす人屋にこめよ今よりのちかくのことくあやしき事いはん/下107ウy468 
 + 
 +  物をはころさしむへき物也といひて人屋にすへられぬふかくとち 
 +  こめてをもくいましめてをけと宣旨くたされぬ人屋のつかさの者 
 +  宣旨のままにをもく罪ある物をく所にこめてをきて戸にあまた 
 +  しやうさしつ此僧悪王に逢てかくかなしき目をみるわか本師尺 
 +  迦如来滅後なりともあらたにみ給らん我を助給へと念し入たる 
 +  に尺迦仏丈六の御姿にて紫磨黄金の光をはなちて空より 
 +  飛きたり給てこの獄門を踏やふりて此僧をとりてさり給ぬその 
 +  つゐてにおほくの盗人ともみな逃さりぬ獄の司空に物のなりけれは 
 +  いててみるに金の色したる僧の光をはなちたるか大さ丈六なる空より 
 +  飛来りて獄の門を踏破てこめられたる天竺の僧を取て行をと 
 +  なりけれはこのよしを申に御門いみしくおちおそり給けりとなん 
 +  其時にわたらんとしける仏法世くたりての漢にはわたりけるなり/下108オy469
  
-其時に、わたらんとしける仏法、世くだりての漢にはわたりけるなり。 
text/yomeiuji/uji195.1398143166.txt.gz · 最終更新: by Satoshi Nakagawa