text:yomeiuji:uji165
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| text:yomeiuji:uji165 [2019/11/10 12:11] – Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji165 [2025/06/07 18:35] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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| 昔、備中国に郡司ありけり。それが子に、ひきのまき人((吉備真備か。))といふありけり。若き男にてありける時、夢を見たりければ、「合はせさせん」とて、夢解きの女のもとに行きて、夢合せてのち、物語してゐたるほどに、人々あまた声して来(く)なり。国守の御子の太郎君のおはすなりけり。年は十七・八ばかりの男にておはしけり。心ばへは知らず、形は清げなり。人、四・五人ばかり具したり。「これや夢解きの女のもと」と問へば、御供の侍、「これにて候ふ」と言ひて来れば、まき人は上の方の内に入りて、部屋のあるに入りて、穴よりのぞきて見れば、この君入り給て、「夢をしかじか見つる。いかなるぞ」とて、語り聞かす。女、聞きて、「よにいみじき御夢なり。必ず大臣まで成り上がり給ふべきなり。かへすがへすめでたく御覧じて候ふ。あなかしこあなかしこ、人に語り給ふな」と申しければ、この君、嬉しげにて、衣(きぬ)を脱ぎて、女に取らせて帰りぬ。 | 昔、備中国に郡司ありけり。それが子に、ひきのまき人((吉備真備か。))といふありけり。若き男にてありける時、夢を見たりければ、「合はせさせん」とて、夢解きの女のもとに行きて、夢合せてのち、物語してゐたるほどに、人々あまた声して来(く)なり。国守の御子の太郎君のおはすなりけり。年は十七・八ばかりの男にておはしけり。心ばへは知らず、形は清げなり。人、四・五人ばかり具したり。「これや夢解きの女のもと」と問へば、御供の侍、「これにて候ふ」と言ひて来れば、まき人は上の方の内に入りて、部屋のあるに入りて、穴よりのぞきて見れば、この君入り給て、「夢をしかじか見つる。いかなるぞ」とて、語り聞かす。女、聞きて、「よにいみじき御夢なり。必ず大臣まで成り上がり給ふべきなり。かへすがへすめでたく御覧じて候ふ。あなかしこあなかしこ、人に語り給ふな」と申しければ、この君、嬉しげにて、衣(きぬ)を脱ぎて、女に取らせて帰りぬ。 | ||
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| されば、夢取ることは、まことにかしこきことなり。かの夢取られたりし備中守の子は、司(つかさ)もなき者にてやみにけり。夢を取られざらましかば、大臣までもなりなまし。されば、「夢を人に聞かすまじきなり」と言ひ伝へたり。 | されば、夢取ることは、まことにかしこきことなり。かの夢取られたりし備中守の子は、司(つかさ)もなき者にてやみにけり。夢を取られざらましかば、大臣までもなりなまし。されば、「夢を人に聞かすまじきなり」と言ひ伝へたり。 | ||
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text/yomeiuji/uji165.1573355513.txt.gz · 最終更新: by Satoshi Nakagawa
