text:yomeiuji:uji158
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| text:yomeiuji:uji158 [2019/10/26 00:00] – Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji158 [2025/06/06 00:59] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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| 今は昔、陽成院((陽成天皇))おりゐさせ給ひての御所は、宮よりは北、西洞院よりは西、油小路よりは東にてなんありける。そこはもの住む所にてなんありける。 | 今は昔、陽成院((陽成天皇))おりゐさせ給ひての御所は、宮よりは北、西洞院よりは西、油小路よりは東にてなんありける。そこはもの住む所にてなんありける。 | ||
| 大きなる池のありける釣殿に、番の者寝たりければ、夜中ばかりに、細々とある手にて、この男の顔を、そとそとなでけり。「けむつかし」と思ひて、太刀を抜きて、片手にてつかみたりければ、浅黄(あさぎ)の上下(かみしも)着たる翁の、ことのほかに物わびしげなるが言ふやう、「われはこれ、昔住みし主(ぬし)なり。浦島の子が弟(おとと)なり。いにしへより、この所に住みて、千二百余年になるなり。願はくは許し給へ。ここに社を造りて、いはひ給へ。さらば、いかにも守り奉らん」と言ひけるを、「わが心一つにてはかなはじ。このよしを院へ申してこそは」と言ひければ、「憎き男の言ひごとかな」とて、三度(みたび)上ざまへ蹴上げ蹴上げして、なへなへくたくたとなして、落つる所を口を開きて食ひたりけり。なべての人ほどなる男と見るほどに、おびたたしく大きになりて、この男をただ一口に食ひてけり。 | 大きなる池のありける釣殿に、番の者寝たりければ、夜中ばかりに、細々とある手にて、この男の顔を、そとそとなでけり。「けむつかし」と思ひて、太刀を抜きて、片手にてつかみたりければ、浅黄(あさぎ)の上下(かみしも)着たる翁の、ことのほかに物わびしげなるが言ふやう、「われはこれ、昔住みし主(ぬし)なり。浦島の子が弟(おとと)なり。いにしへより、この所に住みて、千二百余年になるなり。願はくは許し給へ。ここに社を造りて、いはひ給へ。さらば、いかにも守り奉らん」と言ひけるを、「わが心一つにてはかなはじ。このよしを院へ申してこそは」と言ひければ、「憎き男の言ひごとかな」とて、三度(みたび)上ざまへ蹴上げ蹴上げして、なへなへくたくたとなして、落つる所を口を開きて食ひたりけり。なべての人ほどなる男と見るほどに、おびたたしく大きになりて、この男をただ一口に食ひてけり。 | ||
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text/yomeiuji/uji158.1572015606.txt.gz · 最終更新: by Satoshi Nakagawa
