text:yomeiuji:uji156
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| text:yomeiuji:uji156 [2019/10/24 22:35] – Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji156 [2025/05/30 01:06] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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| 今は昔、遣唐使にて唐土(もろこし)に渡りける人の、十ばかりなる子を、え見であるまじかりければ、具して渡りぬ。さて、過ぐしけるほどに、雪の高く降りたりける日、歩(あり)きもせでゐたりけるに、この児の遊びに出でていぬるが、遅く帰りければ、「あやし」と思ひて、出でて見れば、足形(あしがた)後ろの方から踏みて行きたるに沿ひて、大きなる犬の足形ありて、それよりこの児の足形見えず。 | 今は昔、遣唐使にて唐土(もろこし)に渡りける人の、十ばかりなる子を、え見であるまじかりければ、具して渡りぬ。さて、過ぐしけるほどに、雪の高く降りたりける日、歩(あり)きもせでゐたりけるに、この児の遊びに出でていぬるが、遅く帰りければ、「あやし」と思ひて、出でて見れば、足形(あしがた)後ろの方から踏みて行きたるに沿ひて、大きなる犬の足形ありて、それよりこの児の足形見えず。 | ||
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| 太刀を持ちて走り寄れば、え逃げても行かで、かひかがまりてゐたるを、太刀にて頭(かしら)を打てば、鯉の頭割るやうに割れぬ。次に、またそばざまに食はんとて、走り寄る背中を打てば、背骨をうち切りて、くたくたとなしつ。 | 太刀を持ちて走り寄れば、え逃げても行かで、かひかがまりてゐたるを、太刀にて頭(かしら)を打てば、鯉の頭割るやうに割れぬ。次に、またそばざまに食はんとて、走り寄る背中を打てば、背骨をうち切りて、くたくたとなしつ。 | ||
| - | さて、子をば、死にたれども、脇にかひはさみて、家に帰りたれば、その国の人々見て、怖ぢあさむことかぎりなし。唐土の人は虎に会ひては、逃ぐることだにかたきに、かく虎をばうち殺して、子を取り返して来たれば、唐土の人はいみじきことに言ひて、「なほ日本の国には、兵(つはもの)の方たは並びなき国なり」と、めでけれども、子死にければ、何にかはせむ。 | + | さて、子をば、死にたれども、脇にかひはさみて、家に帰りたれば、その国の人々見て、怖ぢあさむことかぎりなし。唐土の人は虎に会ひては、逃ぐることだにかたきに、かく虎をばうち殺して、子を取り返して来たれば、唐土の人はいみじきことに言ひて、「なほ日本の国には、兵(つはもの)の方(かた)は並びなき国なり」と、めでけれども、子死にければ、何にかはせむ。 |
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text/yomeiuji/uji156.1571924105.txt.gz · 最終更新: by Satoshi Nakagawa
