text:yomeiuji:uji095
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text:yomeiuji:uji095 [2016/02/27 21:49] – [第95話(巻7・第4話)検非違使、忠明の事] Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji095 [2018/08/11 17:27] – Satoshi Nakagawa | ||
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宇治拾遺物語 | 宇治拾遺物語 | ||
- | ====== 第95話(巻7・第4話)検非違使忠明の事 ====== | + | ====== 第95話(巻7・第4話)検非遣使、忠明の事 ====== |
- | **検非違使忠明事** | + | **検非遣使忠明事** |
- | **検非違使忠明の事** | + | **検非遣使、忠明の事** |
- | これも今はむかし、ただあきらといふ検非違使有けり。 | + | ===== 校訂本文 ===== |
- | それが若かりける時、清水の橋のもとにて、京童部どもと、いさかひをしけり。京童部、手ごとに刀をぬきて、ただあきらをたちこめて殺さんとしければ、忠明も太刀を抜て、御堂ざまにのぼるに、御堂の東の妻にもあまた立て、むかひあひたれば、内へ逃て、しとみのもとを脇にはさみて、前の谷へおどりおつ。しとみ、風にしぶかれて、谷の底に鳥のゐりやうに、やをら落にければ、それより逃ていにけり。 | + | これも今は昔、忠明(ただあきら)といふ検非違使ありけり。 |
+ | |||
+ | それが若かりける時、清水((清水寺))の橋のもとにて、京童部(きやうわらんべ)どもと、いさかひをしけり。京童部、手ごとに刀を抜きて、忠明をたちこめて殺さんとしければ、忠明も太刀を抜きて、御堂ざまに登るに、御堂の東の妻にもあまた立ちて、向ひあひたれば、内へ逃げて、蔀(しとみ)のもとを脇に挟みて、前の谷へ踊り落つ。 | ||
+ | |||
+ | 蔀、風にしぶかれて、谷の底に鳥のゐるやうに、やをら落ちにければ、それより逃げて去にけり。 | ||
+ | |||
+ | 京童部ども、谷を見下ろして、あさましがりて、立ち並みて見けれども、すべきやうもなくて、やみにけりとなん。 | ||
+ | |||
+ | ===== 翻刻 ===== | ||
+ | |||
+ | これも今はむかしたたあきらといふ検非違使有けりそれか | ||
+ | 若かりける時清水の橋のもとにて京童部ともといさかひをし | ||
+ | けり京童部手ことに刀をぬきてたたあきらをたちこめて殺 | ||
+ | さんとしけれは忠明も太刀を抜て御堂さまにのほるに御堂の | ||
+ | 東の妻にもあまた立てむかひあひたれは内へ逃てしとみの | ||
+ | もとを脇にはさみて前の谷へおとりおつしとみ風にしふかれ | ||
+ | て谷の底に鳥のゐるやうにやをら落にけれはそれより逃て | ||
+ | いにけり京童部とも谷を見おろしてあさましかりて立 | ||
+ | なみて見けれともすへきやうもなくてやみにけりとなん/104ウy212 | ||
- | 京童部どもも谷を見おろして、あさましがりて、立なみて見けれども、すべきやうもなくて、やみにけりとなん。 |
text/yomeiuji/uji095.txt · 最終更新: 2018/08/11 17:28 by Satoshi Nakagawa