ユーザ用ツール

サイト用ツール


text:yomeiuji:uji094

差分

このページの2つのバージョン間の差分を表示します。

この比較画面へのリンク

両方とも前のリビジョン前のリビジョン
最新のリビジョン両方とも次のリビジョン
text:yomeiuji:uji094 [2014/10/06 22:17] Satoshi Nakagawatext:yomeiuji:uji094 [2015/03/22 03:42] – [第94話(巻7・第3話)三条中納言、水飯の事] Satoshi Nakagawa
行 10: 行 10:
 ふとりのあまり、せめてくるしきまで肥給ければ、くすししげひでをよびて、「かくいみじうふとるをば、いかがせんとする。立居などするが、身のをもくいみじうくるしきなり」との給ば、重秀申やう、「冬は湯づけ、夏は水漬にて物をめすべきなり」と申けり。 ふとりのあまり、せめてくるしきまで肥給ければ、くすししげひでをよびて、「かくいみじうふとるをば、いかがせんとする。立居などするが、身のをもくいみじうくるしきなり」との給ば、重秀申やう、「冬は湯づけ、夏は水漬にて物をめすべきなり」と申けり。
  
-そのままにめしけれど、おなじやうにこへふとり給ければ、せんかたなくて、又重秀をめして、「いひしままにすれど、そのしるしもなし。水飯食てみせん」との給て、おのこどもめすに、さぶらひ一人まいりたれば、「例のやうに水飯してもてこ」といはれければ、しばし斗ありて、御台もてまいるをみれば、御だい、かたよろひもてきて御前にすへつ。だいに箸のだいばかりすへたり。+そのままにめしけれど、おなじやうにこへふとり給ければ、せんかたなくて、又重秀をめして、「いひしままにすれど、そのしるしもなし。水飯食てみせん」との給て、おのこどもめすに、さぶらひ一人まいりたれば、「例のやうに水飯してもてこ」といはれければ、しばし斗ありて、御台もてまいるをみれば、御だい、かたよろひもてきて御前にすへつ。だいに箸のだいばかりすへたり。
  
 つづきて御盤ささげてまいる。御まかないの台にすふるをみれば、中の御盤に、しろき干瓜三寸ばかりに切て、十斗もりたり。又、すしあゆのおせくぐにひろらかなるが、しりかしらばかりををして、卅斗もりたり。 つづきて御盤ささげてまいる。御まかないの台にすふるをみれば、中の御盤に、しろき干瓜三寸ばかりに切て、十斗もりたり。又、すしあゆのおせくぐにひろらかなるが、しりかしらばかりををして、卅斗もりたり。
行 16: 行 16:
 大なるかなまりをぐしたり。みな御台にすへたり。いま一人の侍、大なる銀の提に銀のかいをたてて、をもたげにもてまいりたり。 大なるかなまりをぐしたり。みな御台にすへたり。いま一人の侍、大なる銀の提に銀のかいをたてて、をもたげにもてまいりたり。
  
-かなまりを給たれば、かいに御ものをすくひつつ、高やかにもりあげて、そばに水をすこし入てまいらせたり。殿、だいをひきよせ給て、かなまりをとらせ給へるに、さばかり大におはする殿の御手に、「大なるかなまりかな」とみゆるは、けしうはあらぬほどなるべし。+金鞠を給たれば、かいに御ものをすくひつつ、高やかにもりあげて、そばに水をすこし入てまいらせたり。殿、だいをひきよせ給て、かなまりをとらせ給へるに、さばかり大におはする殿の御手に、「大なるかなまりかな」とみゆるは、けしうはあらぬほどなるべし。
  
-ほしうりを二きり斗に食切て、五六斗やすらかにまいりぬ。次に水飯を引よせて、二たび斗はしをまはし給ふとみる程に、おものみなうせぬ。「又とて、さし給はす。+ほしうりを三きり斗くひきりて、五六ばかりまいりぬ。次に鮎を二きり斗に食切て、五六斗やすらかにまいりぬ。次に水飯を引よせて、二たび斗はしをまはし給ふとみる程に、おものみなうせぬ。「又とて、さし給はす。
  
-さて二三度にひさげ物みなになれば、又、提に入てもてまいる。重秀これをみて、「水飯をやくとめすとも、このぢやうにめさば、さらに御ふとりなをるべきにあらず」とて、逃ていにけり。+さて二三度にひさげ物みなになれば、又、提に入てもてまいる。重秀これをみて、「水飯をやくとめすとも、このぢやうにめさば、さらに御ふとりなをるべきにあらず」とて、逃ていにけり。
  
 されば、いよいよ相撲などのやうにてぞおはしける。 されば、いよいよ相撲などのやうにてぞおはしける。
 +
text/yomeiuji/uji094.txt · 最終更新: 2018/08/11 16:54 by Satoshi Nakagawa