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text:yomeiuji:uji075 [2015/02/25 21:42] – [第75話(巻5・第6話)陪従清仲の事] Satoshi Nakagawatext:yomeiuji:uji075 [2025/05/08 16:16] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
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 **陪従清仲の事** **陪従清仲の事**
  
-是も今はむかし、二条の大宮と申けるは、白川院の宮、鳥羽院の御母しろにおはしましける。二条の大宮とぞ申ける。二条よりは北、堀川よりは東におはしましけり。+===== 校訂本文 =====
  
-その御所破にければ、有賢大蔵卿、備後国をしられける重任の功に修理しければ、宮もほかへおはしましにけり。それに陪従清仲といふもの、常にさぶらひけるが、宮おはしまさねども、猶御車宿の妻に居て、ふるきはいはじ、あたらしうしたるつか柱、立蔀などをさへ、やぶり焼けり。+[[uji074|<<PREV]] [[index.html|『宇治拾遺語』TOP]] [[uji076|NEXT>>]]
  
-此事を有賢、鳥羽院にうたへ申ければ、清仲をめして、「宮わたらせおはしまさぬに、猶まりゐて、ふるき物、あたらき物、こぼちたくなはいかなる事ぞ修理する物うたへ申な。まづ宮もおはしまさぬに、猶こもゐたるは事によりてさぶらふぞ。子細を申せ」と仰せられければ、清仲申すやう「別候はず。たき木につきて候也」と申ければ、「大たこれ程の事」とかく仰らるるに及ず。「すみやかに追いだせ」とて、わらはせおはしましけるとかや+これも今は昔、二条の大宮((令子内親王))と申しけるは、白河院の宮((白河天皇))、鳥羽院((鳥羽天皇))の御母代(しろ)におはしましける。二条の大宮ぞ申る。二条よは北堀川よりは東におはしましけ。その御所破れにければ、有賢大蔵卿((源有賢))備後国を知られける重任修理しければ、宮もほおはしまし
  
-この清仲は、法性寺殿御時春日の乗尻の立ける、神馬づか、をのをのさはりありて、事闕たりける清仲ばかりかうつとめたり物なれども、「事かけたり。相構つとめよ。せめて京斗をまれ事なさまにはからひつとめよ」と仰られけるに「畏奉ぬ」申てやがて社頭にまいければ、返返感じおぼしめす+それに、陪従清仲(べいじゆうきよなか)といふもの、さぶらひけるおはまさねども、なほ御車宿(くるまやどり)の妻て、いはじ、新しうしたる束柱(つばし)立蔀(たみ)などをさへ焼きけり。
  
-「いみじてさぶらふ」とて御馬をたびたりければ、しまろび悦て、「このぢやうに候はば、定使を候はばや」と申けるを、仰ものも、さぶらひあふどもも、つぼに入て、笑ののしりけるを、「何事ぞ」と御尋ありければ、「しかか」と申しけるに、「いみじう申たり」とぞ仰ありける。+このことを、有賢、鳥羽院に訴(うた)へ申しければ、清仲を召して、宮、渡らせおはしまさぬに、なほ留(とま)り居て、古き物、新しき物、こぼち焚くなるは、かなることぞ。修理する物、訴(た)へ申すなり。まづ、宮もおはしまさぬに、なほこもり居たるは、何ごによりてさぶらふぞ。子細を申せ」と仰せられければ、清仲、申すやう、「別のことに候はず。焚き木につき((「尽きて」と「付きて」の二説がある。))候ふなり」と申しければ、おほかた、これほどのこと、とかく仰せらるるに及ばず。「すみやかに追ひ出だせ」とて、笑はせおはしましけるとかや。 
 + 
 +この清仲は、法性寺殿((藤原忠通))の時、春日の乗尻の立ちけるに、神使ひ、おのおのさはりありて、事欠けたりけるに、清仲ばかり、かう勤めたりし者なれども、「事欠けにたり。あひ構へて勤めよ。せめて京ばかりまれ、ことなきさまに、はからひ勤めよ」と仰せられけるに、「かしこまりて奉りぬ」と申して、やがて社頭に参りりければ、返す返す感じ思し召す。 
 + 
 +「いみじう勤めて候ふ」とて、御馬を賜びたりければ、しまろび悦て、「この定(ぢやう)に候はば、定使(ぢやうづかひ)つかまつり候はばや」と申けるを、仰せ告も、さぶらひあふどもも、笑壺(ゑつぼ)に入て、笑ののしりけるを、「何事ぞ」と御尋ありければ、「しかか」と申しけるに、「いみじう申たり」とぞせごとありける。 
 + 
 +[[uji074|<<PREV]] [[index.html|『宇治拾遺物語』TOP]] [[uji076|NEXT>>]] 
 + 
 +===== 翻刻 ===== 
 + 
 +  是も今はむかし二条の大宮と申けるは白川院の宮鳥羽院の 
 +  御母しろにおはしましける二条の大宮とそ申ける二条よりは 
 +  北堀川よりは東におはしましけりその御所破にけれは有 
 +  賢大蔵卿備後国をしられける重任の功に修理しけれは 
 +  宮もほかへおはしましにけりそれに陪従清仲といふもの常に 
 +  さふらひけるか宮おはしまさねとも猶御車宿の妻に居てふ 
 +  るき物はいはしあたらしうしたるつか柱立蔀なとをさへやふり 
 +  焼けり此事を有賢鳥羽院にうたへ申けれは清仲をめして/77ウy158 
 + 
 +  宮わたらせおはしまさぬに猶とまりゐてふるき物あたらしき 
 +  物こほちたくなるはいかなる事そ修理する物うたへ申なり 
 +  まつ宮もおはしまさぬに猶こもりゐたるはなに事によりて 
 +  さふらふそ子細を申せと仰られけれは清仲申すやう別の事 
 +  に候はすたき木につきて候也と申けれは大かたこれ程 
 +  の事とかく仰らるるに及すすみやかに追いたせとてわら 
 +  はせおはしましけるとかやこの清仲は法性寺殿の御時春日の 
 +  乗尻の立けるに神馬つかひをのをのさはりありて事闕たり 
 +  けるに清仲はかりかうつとめたりし物なれとも事かけにたり 
 +  相構てつとめよせめて京斗をまれ事なきさまにはからひつ 
 +  とめよと仰られけるに畏て奉ぬと申てやかて社頭にまいりた 
 +  りけれは返返感しおほしめすいみしうつとめてさふらふとて御 
 +  馬をたひたりけれはふしまろひ悦てこのちやうに候はは定/78オy159 
 + 
 +  使を仕候ははやと申けるを仰つくものもさふらひあふ物ともも 
 +  えつほに入て笑ののしりけるを何事そと御尋ありけれは 
 +  しかしかと申しけるにいみしう申たりとそ仰事ありける/78ウy160
  
text/yomeiuji/uji075.1424868176.txt.gz · 最終更新: by Satoshi Nakagawa