text:yomeiuji:uji016
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text:yomeiuji:uji016 [2017/12/20 23:55] – [第16話(巻1・第16話)尼、地蔵見奉る事] Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji016 [2019/12/04 11:28] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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尼は、「地蔵、見参らせん」とて居たれば、親どもは心も得ず、「など、『この童を見ん』と思ふらん」と思ふほどに、十ばかりなる童の来たるを、「くは、地蔵よ」と言へば、尼、見るままに、是非も知らず、伏しまろびて、拝み入りて、土にうつぶしたり。 | 尼は、「地蔵、見参らせん」とて居たれば、親どもは心も得ず、「など、『この童を見ん』と思ふらん」と思ふほどに、十ばかりなる童の来たるを、「くは、地蔵よ」と言へば、尼、見るままに、是非も知らず、伏しまろびて、拝み入りて、土にうつぶしたり。 | ||
- | 童、ずはゑを持ちて、遊びけるままに来たりけるが、そのずはゑして、手すさみのやうに額を掻けば、額より顔の上まで裂けぬ。裂けたる中より、えもいはずめでたき地蔵の御顔、見え給ふ。 | + | 童、楚(すはえ)を持ちて遊びけるままに来たりけるが、その楚して、手すさみのやうに額を掻けば、額より顔の上まで裂けぬ。裂けたる中より、えもいはずめでたき地蔵の御顔、見え給ふ。 |
尼、拝み入りて、うち見上げたれば、かくて立ち給へれば、涙を流して、拝み入り参らせて、やがて極楽へ参りにけり。 | 尼、拝み入りて、うち見上げたれば、かくて立ち給へれば、涙を流して、拝み入り参らせて、やがて極楽へ参りにけり。 |
text/yomeiuji/uji016.txt · 最終更新: 2019/12/04 11:28 by Satoshi Nakagawa