text:yomeiuji:uji005
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| text:yomeiuji:uji005 [2017/10/18 21:04] – [第5話(巻1・第5話)随求陀羅尼、額に篭むる法師の事] Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji005 [2025/04/28 19:26] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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| **随求ダラニ額に篭むる法師の事** | **随求ダラニ額に篭むる法師の事** | ||
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| これも今は昔、人のもとに、ゆゆしく、ことごとしく、負斧(おひをの)・法螺貝、腰に付け、錫杖突きなどしたる山臥の、ことごとしげなる入り来て、侍(さぶらひ)の立蔀(たてじとみ)の内の小庭に立ちけるを、侍、「あれはいかなる御房ぞ」と問ひければ、「『これは、日ごろ白山に侍りつるが、御嶽((金峰山))へ参りて、今二千日候はんとつかまつるが、時料尽きて侍り。まかりあづからん』と申し上げ給へ」と言ひて立てり。 | これも今は昔、人のもとに、ゆゆしく、ことごとしく、負斧(おひをの)・法螺貝、腰に付け、錫杖突きなどしたる山臥の、ことごとしげなる入り来て、侍(さぶらひ)の立蔀(たてじとみ)の内の小庭に立ちけるを、侍、「あれはいかなる御房ぞ」と問ひければ、「『これは、日ごろ白山に侍りつるが、御嶽((金峰山))へ参りて、今二千日候はんとつかまつるが、時料尽きて侍り。まかりあづからん』と申し上げ給へ」と言ひて立てり。 | ||
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| 侍の者ども、「ゆゆしきことにこそ侍れ。足・手の指など切りたるは、あまた見ゆれども、額破りて、陀羅尼こめたるこそ、見ゆるとも思えね」と言ひ合ひたるほどに、十七・八ばかりなる((「ばかりなる」は、底本「はいかなる」。諸本により訂正。))小侍の、ふと走り出でて、うち笑みて、「あなかたはらいたの法師や。なんでう随求陀羅尼をこめむずるぞ。あれは、七条町に江冠者が家のおほ東(ひんがし)にある、鋳物師(いもじ)が妻を、密(みそ)か密かに、入り臥し入り臥しせしほどに、去年の夏、入り臥したりけるに、男の鋳物師、帰り合ひたりければ、取る物も取りあへず、逃げて西へ走ろしが、冠者が家の前ほどにて、追ひつめられて、さひづゑして額を打ち破られたりしぞかし。冠者も見しは」と言ふを、「あさまし」と人ども聞きて、山伏が顔をみれば、少しもことと思ひたる気色もせず、少しまのししたるやうにて、「そのついでにこめたるぞ」と、つれなう言ひたる時に、集まれる人ども、一度に、「は」と笑ひたるまぎれに、逃げて去(い)にけり。 | 侍の者ども、「ゆゆしきことにこそ侍れ。足・手の指など切りたるは、あまた見ゆれども、額破りて、陀羅尼こめたるこそ、見ゆるとも思えね」と言ひ合ひたるほどに、十七・八ばかりなる((「ばかりなる」は、底本「はいかなる」。諸本により訂正。))小侍の、ふと走り出でて、うち笑みて、「あなかたはらいたの法師や。なんでう随求陀羅尼をこめむずるぞ。あれは、七条町に江冠者が家のおほ東(ひんがし)にある、鋳物師(いもじ)が妻を、密(みそ)か密かに、入り臥し入り臥しせしほどに、去年の夏、入り臥したりけるに、男の鋳物師、帰り合ひたりければ、取る物も取りあへず、逃げて西へ走ろしが、冠者が家の前ほどにて、追ひつめられて、さひづゑして額を打ち破られたりしぞかし。冠者も見しは」と言ふを、「あさまし」と人ども聞きて、山伏が顔をみれば、少しもことと思ひたる気色もせず、少しまのししたるやうにて、「そのついでにこめたるぞ」と、つれなう言ひたる時に、集まれる人ども、一度に、「は」と笑ひたるまぎれに、逃げて去(い)にけり。 | ||
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text/yomeiuji/uji005.1508328293.txt.gz · 最終更新: by Satoshi Nakagawa
