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text:uchigiki:uchigiki20 [2018/05/19 15:49] – 作成 Satoshi Nakagawatext:uchigiki:uchigiki20 [2026/01/09 12:00] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
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 昔、唐(もろこし)なりける僧、天竺に渡りぬ。ほかのことにあらず、ただ、ものの見物をするなり。所々見往く。 昔、唐(もろこし)なりける僧、天竺に渡りぬ。ほかのことにあらず、ただ、ものの見物をするなり。所々見往く。
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 片山(かたやま)に大きなる穴あり。牛、この穴はひ入る。そのともにつづいて((「つづいて」は底本、「次ツツテ」。文脈により訂正))入れば、久しく通りて、明かき所に通り出でて見れば、天竺にも似ず、花開きたり。 片山(かたやま)に大きなる穴あり。牛、この穴はひ入る。そのともにつづいて((「つづいて」は底本、「次ツツテ」。文脈により訂正))入れば、久しく通りて、明かき所に通り出でて見れば、天竺にも似ず、花開きたり。
  
-牛、この花を食ふ。「こころみむ」とて、この花を一枝取りて、一花食ふ。甘(うま)きこと、極なし。甘きこと口に満ちたり。 +牛、この花を食ふ。「こころみむ」とて、この花を一枝取りて、一花食ふ。甘(うま)きこと、極なし。甘きこと口に満ちたり。甘きままに、また取りて食ふ。三房ばかり食ひに食ふままに、ただ肥えに肥ゆ。心得ず((「心得ず」は底本「不得」。「心」の脱字とみて訂正。))思ゆれば、怖しくて、ある穴より帰り出づ。
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-甘きままに、また取りて食ふ。三房ばかり食ひに食ふままに、ただ肥えに肥ゆ。心得ず((「心得ず」は底本「不得」。「心」の脱字とみて訂正。))思ゆれば、怖しくて、ある穴より帰り出づ。+
  
 初めは安らかに通りつる穴に、今度はせめて強(あなが)ちにこみ通る。この方、既に通らむとするに、穴に満ちぬ。内(うち)ほらなるに、帰るも帰らず、出づるも出でで、穴より頭ばかりをさし出で止みぬ。わびしきことかぎりなし。 初めは安らかに通りつる穴に、今度はせめて強(あなが)ちにこみ通る。この方、既に通らむとするに、穴に満ちぬ。内(うち)ほらなるに、帰るも帰らず、出づるも出でで、穴より頭ばかりをさし出で止みぬ。わびしきことかぎりなし。
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 玄奘三蔵の天竺に渡る時の記、このよしを記せり。 玄奘三蔵の天竺に渡る時の記、このよしを記せり。
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text/uchigiki/uchigiki20.1526712570.txt.gz · 最終更新: by Satoshi Nakagawa