text:towazu:towazu1-39
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| text:towazu:towazu1-39 [2019/04/21 18:36] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:towazu:towazu1-39 [2019/10/12 16:06] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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| 大宮院、顕紋紗(けんもしや)の薄墨の御衣(ころも)、鈍色(にぶいろ)の御衣(ぞ)引きかけさせ給ひて、同じ色の小几帳立てられたり。斎宮、紅梅の三御衣(みつおんぞ)に青き御単(ひとへ)ぞ、なかなかむつかしかりし。御傍親(ばうしん)とてさぶらひ給ふ女房、紫の匂ひ五つにて、物の具などもなし。斎宮は二十(はたち)に余り給ふ。ねび整ひたる御さま、神も名残を慕ひ給ひけるもことわりに、花と言はば桜に喩へても、よそ目はいかがとあやまたれ、霞の袖を重ぬる暇も、いかにせましと思ひぬべき御ありさまなれば、まして隈(くま)なき御心の内は、いつしか、いかなる御物思ひの種にかと、よそも御心苦しくぞ思えさせ給ひし。 | 大宮院、顕紋紗(けんもしや)の薄墨の御衣(ころも)、鈍色(にぶいろ)の御衣(ぞ)引きかけさせ給ひて、同じ色の小几帳立てられたり。斎宮、紅梅の三御衣(みつおんぞ)に青き御単(ひとへ)ぞ、なかなかむつかしかりし。御傍親(ばうしん)とてさぶらひ給ふ女房、紫の匂ひ五つにて、物の具などもなし。斎宮は二十(はたち)に余り給ふ。ねび整ひたる御さま、神も名残を慕ひ給ひけるもことわりに、花と言はば桜に喩へても、よそ目はいかがとあやまたれ、霞の袖を重ぬる暇も、いかにせましと思ひぬべき御ありさまなれば、まして隈(くま)なき御心の内は、いつしか、いかなる御物思ひの種にかと、よそも御心苦しくぞ思えさせ給ひし。 | ||
| - | 御物語ありて、神地の山の御物語など、絶え絶え聞こえ給ひて、「今宵はいたう更け侍りぬ。のどかに明日は嵐の山の禿(かぶろ)なる木末(こずゑ)どもも御覧じて、御帰りあれ」など申させ給ひて、我御方へ入らせ給ひて、いつしか、「いかがすべき、いかがすべき」と仰せあり。「思ひつることよ」と、をかしくてあれば、「幼くより参りししるしに、このこと申しかなへたらむ、まめやかに心ざしありと思はむ」など仰せありて、やがて御使に参る。 | + | 御物語ありて、神路(かみぢ)の山((神路山))の御物語など、絶え絶え聞こえ給ひて、「今宵はいたう更け侍りぬ。のどかに明日は嵐の山の禿(かぶろ)なる木末(こずゑ)どもも御覧じて、御帰りあれ」など申させ給ひて、我御方へ入らせ給ひて、いつしか、「いかがすべき、いかがすべき」と仰せあり。「思ひつることよ」と、をかしくてあれば、「幼くより参りししるしに、このこと申しかなへたらむ、まめやかに心ざしありと思はむ」など仰せありて、やがて御使に参る。 |
| ただおほかたなるやうに、「御対面嬉しく。御旅寝すさまじくや」などにて、忍びつつ文あり。氷襲(こほりがさね)の薄様にや、 | ただおほかたなるやうに、「御対面嬉しく。御旅寝すさまじくや」などにて、忍びつつ文あり。氷襲(こほりがさね)の薄様にや、 | ||
text/towazu/towazu1-39.1555839407.txt.gz · 最終更新: by Satoshi Nakagawa
