全文検索:
- 巻24第31話 延喜御屏風伊勢御息所読和歌語 第卅一
- 伊衡は、仰を承(うけたまはり)て、御息所の家に行て見れば、五条渡なる所也。庭の木立ち極て木暗くて、前栽極く可咲く殖たり。庭は苔・砂青み渡たり。三月許の事なれば、前の桜おもしろ((底本言偏に慈))く栄へ、
- 巻3第15話 摩竭提国王燼杭太子語 第(十五)
- 眷属は、衣裳を染め張り、青・黄・赤・白の色を尽して、薄く濃く調ふ。 既に其の日に成て、各南殿の前の前栽の中の池の淀みにして、或は船に乗て梶を取り、或は筏に乗て棹を指す。或は前栽の中に花を翫び、或は虫の音を聞て詠を吟じ、此の如く遊戯す。大王・后は、玉の簾を巻上て、此れを見る。宮の内の上下の人、数を尽して、此
- 巻24第6話 碁擲寛蓮値碁擲女語 第六
- 」と云へば、其に下て入ぬ。見れば、前に放出(はなちいで)の広庇有る板屋の平みたるが、前の庭に籬結て、前栽をなむ有るべかしく殖て、砂など蒔たり。賤(あやしの)小家なれども、故有て住成したり。寛蓮、放出に上て
- 巻19第17話 村上天皇御子大斎院出家語 第十七
- 云て入ぬ。 夜深更ぬれば、人影も為ず、東の屏の戸より入て、東の対の北面の檐に密に居て見れば、御前の前栽、心に任せて高く生ひ繁たり。「疏(つくろ)ふ人も無きにや有らむ」と、哀れに見ゆ。露は月の光に照らされ
- 巻19第23話 般若寺覚縁律師弟子僧信師遺言語 第廿三
- などして、散々に去ぬれば、十余年の程に、人ほろろも無き寺に成ぬ。 然れば、馬牛入り立て、心に任せて前栽も食畢つ。立蔀□□((底本頭注「蔀ノ下諸本欠字セズ」))も壊れて荒ぬれば、見る人も、皆哀れに悲く思ふ
- 巻13第1話 修行僧義睿値大峰持経仙語 第一
- ( 𥴩は竹冠に隔))(かうし)・遣戸・蔀・簀子・天上、皆吉く造たり。前の庭には広くして白沙を蒔たり。前栽の木立隙無くして、諸の花栄(さ)き実成て、妙なる事限無し。義睿、此れを見て、心に喜て、近く寄て見れば