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text:sesuisho:n_sesuisho2-033
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text:sesuisho:n_sesuisho2-033 [2021/07/21 16:47] (現在) – 作成 Satoshi Nakagawa
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 +[[index.html|醒睡笑]] 巻2 躻(うつけ)
 +====== 1 腑の抜けたる仁に海老をふるまひけるが・・・ ======
 +
 +===== 校訂本文 =====
 +[[n_sesuisho2-032|<<PREV]] [[index.html|『醒睡笑』TOP]] [[n_sesuisho2-034|NEXT>>]]
 +
 +腑の抜けたる仁に海老(えび)をふるまひけるが、赤きを見て、「これは生まれつきか、また朱にて塗りたる物か」と問ふ。「生得は色が青けれど、釜にて煎りて赤うなる」と言ふを合点(がてん)しゐけり。
 +
 +ある侍の馬に乗りたる先へ、二間(にけん)まなか柄の朱鑓(しゆやり)二十本ばかり持ちたる中間(ちうげん)どもの走るを見、手を打つて、「さても世は広し。奇特なることや」と感ずる。「何をそなたは感ずるぞや」と問ひたれば、「そのことよ。今の鑓の柄の色は、火をたいて剥いたものぢやが、あれほど長い鍋がようあつたことや」と。
 +
 + 三月尽を    雄長老
 +
 +  春の日は長鑓なれど篠(ささ)の葉のひとよばかりになれるいしづき
 +
 +也足((中院通勝))の判に、「篠の葉鑓石づきになれる、三月の名残りよくいひ続けられたり。作においては吉光((刀工粟田口吉光。歌の出来栄えを名刀にたとえている。))にこそ」。
 +
 +[[n_sesuisho2-032|<<PREV]] [[index.html|『醒睡笑』TOP]] [[n_sesuisho2-034|NEXT>>]]
 +
 +===== 翻刻 =====
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 +     躻
 +  一 腑のぬけたる仁にゑひをふるまひけるが赤を見て
 +    これはむまれつきか又朱にてぬりたる物
 +    かととふ生得はいろがあをけれどかまにていり
 +    てあかふなるといふをかてんしゐけり
 +    ある侍の馬にのりたる先へ二間まなか柄の
 +    朱鑓二十本斗もちたる中間とも
 +    のはしるを見手をうつてさても世はひろし
 +    きとくなる事やと感するなにをそなたは/n2-21l
 +
 +    かんするそやととひたれは其事よいまの鑓
 +    の柄のいろは火をたいてむいたものぢやがあ
 +    れほとなかいなへかよふあつた事やと
 +      三月尽を 雄長老
 +     春の日は長鑓なれと篠の葉の
 +     ひと夜はかりになれる石つき
 +    也足の判にささの葉鑓石つきになれる
 +    三月の名残よくいひつつけられたり作に
 +    をひては吉光にこそ/n2-22r
  
text/sesuisho/n_sesuisho2-033.txt · 最終更新: 2021/07/21 16:47 by Satoshi Nakagawa