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text:sesuisho:n_sesuisho2-029
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text:sesuisho:n_sesuisho2-029 [2021/07/20 11:32] (現在) – 作成 Satoshi Nakagawa
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 +[[index.html|醒睡笑]] 巻2 貴人の行跡
 +====== 9 少年に学びざれば老後に知らずと言へり・・・ ======
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 +===== 校訂本文 =====
 +[[n_sesuisho2-028|<<PREV]] [[index.html|『醒睡笑』TOP]] [[n_sesuisho2-030|NEXT>>]]
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 +「少年に学びざれば老後に知らず」と言へり。貴人とあるは、幼なけれども我意にまかせ育ておこなふゆゑ、大略は文字言句(もんじごんく)にうとき人、ままあり。
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 +しかる間、さる大名の直筆にて、連署(れんしよ)を回さるることあり。若き侍の持ち歩(あり)き、返書を開けながら、「さて、今度の御使ひに罷り出でてこそ肝をつぶし候へ。日ごろ存知にかはり、あれやうにこなたの殿に、人のおぢひろめくことは御座ない」と申しけり。「さて、何と言うて恐るるぞ」と問はれ((「問はれ」は底本「とほれ」。諸本により訂正。))しかば、「その義あり。こなたの文を開きては、そのまま『あつ、こはいで、こはいで((「怖い」と何がかけてあるか不明。底本表記「こはいて\/」。))』と、さきざきにて感ぜられたほどに」と言へば、「さぞあらん」とばかりなりしも、大名に似合ひてあり。
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 +[[n_sesuisho2-028|<<PREV]] [[index.html|『醒睡笑』TOP]] [[n_sesuisho2-030|NEXT>>]]
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 +===== 翻刻 =====
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 +  一 少年にまなびざれは老後にしらずといへり
 +    貴人とあるはおさなけれとも我意にまかせ
 +    そたておこなふ故大略は文字言句に
 +    うとき人まま有しかるあひださる大名の
 +    直筆にて連署をまはさるる事ありわかき/n2-18r
 +
 +    侍のもちありき返書をあけなからさて
 +    今度の御使に罷出てこそ肝をつふし候へ
 +    日比存しにかはりあれやうにこなたの殿
 +    に人のおちひろめくことは御座ないと申けり
 +    さてなにといふておそるるそととほれしかは
 +    其義ありこなたの文をひらきてはそのまま
 +    あつこはいてこはいてとさきさきにてかんせられ
 +    たほとにといへはさそあらんとはかりなり
 +    しも大名に似あひてあり/n2-18l
  
text/sesuisho/n_sesuisho2-029.txt · 最終更新: 2021/07/20 11:32 by Satoshi Nakagawa