text:sesuisho:n_sesuisho1-098
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text:sesuisho:n_sesuisho1-098 [2021/05/11 15:38] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:sesuisho:n_sesuisho1-098 [2021/11/03 16:39] (現在) – Satoshi Nakagawa | ||
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- | 鈍なる弟子、斎(とき)に行く。旦那、汁菜(しるさい)をととのへてもてなせども、あへて感ずることもなし。 | + | 鈍なる弟子、斎(とき)に行く。檀那、汁菜(しるさい)をととのへてもてなせども、あへて感ずることもなし。 |
- | 坊主、伝へ聞いて、「なんぢ、うつけたり。明眼論(みやうげんろん)にいはく、『一日の師壇(しだん)は百劫の結縁。一度請に赴ては、師僧その旦那を以て親子(しんし)の如くせよ』とも書かれたり。人の賞翫(しようくはん)するをも知らず、むざと賜はる曲事(くせごと)ぞや。膳に向ひ箸を手に持ち、『御造作(ござうさ)』など言ひて食へ」と指南せり。 | + | 坊主、伝へ聞いて、「なんぢ、うつけたり。明眼論(みやうげんろん)にいはく、『一日の師壇(しだん)は百劫の結縁。一度請に赴ては、師僧その檀那を以て親子(しんし)の如くせよ』とも書かれたり。人の賞翫(しようくはん)するをも知らず、むざと賜はる曲事(くせごと)ぞや。膳に向ひ箸を手に持ち、『御造作(ござうさ)』など言ひて食へ」と指南せり。 |
「もつとも」と同じ明くる朝(あさ)、斎に行く。「例のうつとりぞ。焼き塩ばかりにてよし」とて膳をすゑけるに、教へのごとく、弟子、箸をきつと持ち言ふやう、「めしは御造作に、お汁ばかりかよう御座あらうものを」と。 | 「もつとも」と同じ明くる朝(あさ)、斎に行く。「例のうつとりぞ。焼き塩ばかりにてよし」とて膳をすゑけるに、教へのごとく、弟子、箸をきつと持ち言ふやう、「めしは御造作に、お汁ばかりかよう御座あらうものを」と。 | ||
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坊主伝きいてなんちうつけたり明眼論(みやうけんろん) | 坊主伝きいてなんちうつけたり明眼論(みやうけんろん) | ||
に云一日の師壇(したん)百劫(こう)結縁(けちゑん)一度(と)赴(おもむいて)請(しやうに)師僧 | に云一日の師壇(したん)百劫(こう)結縁(けちゑん)一度(と)赴(おもむいて)請(しやうに)師僧 | ||
- | 以テ其ノ旦那(たんなを)如セヨ親子(しんしの)とも書れたり人の賞(しやう) | + | 以テ其ノ檀那(たんなを)如セヨ親子(しんしの)とも書れたり人の賞(しやう) |
翫(くはん)するをもしらすむざとたまはる曲事(くせこと)そ | 翫(くはん)するをもしらすむざとたまはる曲事(くせこと)そ | ||
や膳(せん)にむかひ箸を手にもち御造作(さうさ)な | や膳(せん)にむかひ箸を手にもち御造作(さうさ)な |
text/sesuisho/n_sesuisho1-098.txt · 最終更新: 2021/11/03 16:39 by Satoshi Nakagawa