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text:mumyosho:u_mumyosho068 [2014/10/10 22:45] – [校訂本文] Satoshi Nakagawatext:mumyosho:u_mumyosho068 [2014/10/10 23:05] (現在) – [第68話 会歌に姿分かつ事] Satoshi Nakagawa
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 無名抄 無名抄
-====== 第68話 会歌に姿分つ事 ======+====== 第68話 会歌に姿分つ事 ======
  
 ===== 校訂本文 ===== ===== 校訂本文 =====
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 「六首の歌にみな姿を詠み変へて奉れ」とて、「春・夏は太く大きに、秋・冬は細く枯らび、恋・旅は艶に優しくつかうまつれ。これ、もし思ふやうに詠み仰せずは、其の由(よし)をありのままに申し上げよ。歌の様(さま)知れるほどを御覧ずべきためなり」と仰せられたりしかば、いみじき大事にて、かたへは辞退す。心にくからぬほどの人をば、またもとより召されず。かかれば、まさしくその座に参り連なれる人、殿下((藤原良経))・大僧正御房((慈円))・定家・家隆・寂蓮・予、わづかに六人ぞ侍りし。 「六首の歌にみな姿を詠み変へて奉れ」とて、「春・夏は太く大きに、秋・冬は細く枯らび、恋・旅は艶に優しくつかうまつれ。これ、もし思ふやうに詠み仰せずは、其の由(よし)をありのままに申し上げよ。歌の様(さま)知れるほどを御覧ずべきためなり」と仰せられたりしかば、いみじき大事にて、かたへは辞退す。心にくからぬほどの人をば、またもとより召されず。かかれば、まさしくその座に参り連なれる人、殿下((藤原良経))・大僧正御房((慈円))・定家・家隆・寂蓮・予、わづかに六人ぞ侍りし。
  
-愚詠に、太く大きなる+愚詠に、太く大きなる
  
   雲さそふ天(あま)つ春風薫るなり高間の山の花ざかりかも   雲さそふ天(あま)つ春風薫るなり高間の山の花ざかりかも
行 16: 行 16:
   打ち羽ぶき今も鳴かなんほととぎす卯の花月夜さかり更けゆく   打ち羽ぶき今も鳴かなんほととぎす卯の花月夜さかり更けゆく
  
-細く枯らびたる歌+細く枯らびたる歌
  
   宵(よひ)の間も月の桂の薄紅葉(うすもみぢ)照るとしもなき初秋(はつあき)の空   宵(よひ)の間も月の桂の薄紅葉(うすもみぢ)照るとしもなき初秋(はつあき)の空
行 22: 行 22:
   寂しさはなほ残りけり跡絶ゆる落葉が上に今朝は初雪   寂しさはなほ残りけり跡絶ゆる落葉が上に今朝は初雪
  
-艶に優しき歌+艶に優しき歌
  
   忍ばずよ絞(しぼ)りかねつと語れ人もの思ふ袖の朽ち果てぬ間に   忍ばずよ絞(しぼ)りかねつと語れ人もの思ふ袖の朽ち果てぬ間に
text/mumyosho/u_mumyosho068.txt · 最終更新: 2014/10/10 23:05 by Satoshi Nakagawa