text:mumyosho:u_mumyosho012
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text:mumyosho:u_mumyosho012 [2014/09/11 01:26] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:mumyosho:u_mumyosho012 [2014/09/13 18:16] (現在) – Satoshi Nakagawa | ||
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+ | 無名抄 | ||
====== 第12話 千載集に予一首入るを悦ぶ事 ====== | ====== 第12話 千載集に予一首入るを悦ぶ事 ====== | ||
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** 千載集に予一首入るを悦ぶ事 ** | ** 千載集に予一首入るを悦ぶ事 ** | ||
- | | + | 千載集には予が歌一首入れり。 |
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+ | 「させる重代にもあらず。よみ口にもあらず。また、時にとりて人に許されたる好士にもあらず。しかあるを、一首にても入れるは、いみじき面目なり」と喜び侍りしを、故筑州聞きて、「この事、『ただなほざりに言はるるか』と思ふほどに、たびたびになりぬ。まことに思ひてのたまふことにこそ。さるにては、この道にかならず冥加おはすべき人なり。そのゆゑは、道理はしかあれど、人のしか思ふことは、有り難きわざなり。この集を見れば、させることなき人々、皆十首、七・八首、四・五首入れる類(たぐ)ひ多かり。彼ら((底本「かられ」))を見るときは、『いかばかりいやましく思はるらむ』と推し量るに、あまりさへかく喜ばるる、いみじきことなり。道を貴ぶには、まづ心をうるはしく使ふにあるなり。今の世の人は、皆しかあらず。身のほども知らず。心高く驕り、かまびすしき憤りを結びて、事に触れて誤り多かり。今、思ひ合はせられよ」となん、申し侍りし。 | ||
まことにこの道の冥加、身のほどにも過ぎたり。古き人の言へること、必ずゆゑあり。 | まことにこの道の冥加、身のほどにも過ぎたり。古き人の言へること、必ずゆゑあり。 |
text/mumyosho/u_mumyosho012.1410366404.txt.gz · 最終更新: 2014/09/11 01:26 by Satoshi Nakagawa