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text:mogyuwaka:ndl_mogyuwaka05-14 [2017/12/03 18:14] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:mogyuwaka:ndl_mogyuwaka05-14 [2017/12/03 18:29] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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買臣が妻(め)、世のわひびさを耐へかねて、暇(いとま)を乞ひて、「別れなむ」と言ふを、「われ、四十より富み栄ふることあるべし。すでに、三十九になれば、今年ばかりを待ち見よ」と、ねむごろに言ひこしらえけれども、聞かずして、去り離れにけり。さすがに、年ごろにもなりにければ、とにかくに慕はしく思ひけれども、かひもなし((「かひもなし」底本、「かひも」なし。書陵部本(桂宮本)により補う。))。 | 買臣が妻(め)、世のわひびさを耐へかねて、暇(いとま)を乞ひて、「別れなむ」と言ふを、「われ、四十より富み栄ふることあるべし。すでに、三十九になれば、今年ばかりを待ち見よ」と、ねむごろに言ひこしらえけれども、聞かずして、去り離れにけり。さすがに、年ごろにもなりにければ、とにかくに慕はしく思ひけれども、かひもなし((「かひもなし」底本、「かひも」なし。書陵部本(桂宮本)により補う。))。 | ||
- | さて次の年、買臣が文道にかしこきことを讃めて、武帝、召して、まづ侍中に拝して、次に会稽の大守に移されぬ。「富貴にして故郷へ帰らざるは、錦を衣して夜行くがごとし。なんぢ、今すでに故郷(ふるさと)に至るべし」と聞こへければ、跪(ひざまづ)きてかしこまりけり。 | + | さて次の年、買臣が文道にかしこきことを讃めて、武帝、召して、まづ侍中に拝して、次に会稽の太守に移されぬ。「富貴にして故郷へ帰らざるは、錦を衣して夜行くがごとし。なんぢ、今すでに故郷(ふるさと)に至るべし」と聞こへければ、跪(ひざまづ)きてかしこまりけり。 |
任に赴く時、さきの妻、あやしの賤(しづ)の姿にて、道を作りけり。これを見るに、目も暗れ、心も消ゆる心地して、呼びて見れば、いふばかりなく痩せ衰へて、ありしにもあらずなりにけり。 | 任に赴く時、さきの妻、あやしの賤(しづ)の姿にて、道を作りけり。これを見るに、目も暗れ、心も消ゆる心地して、呼びて見れば、いふばかりなく痩せ衰へて、ありしにもあらずなりにけり。 |
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