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text:kohon:kohon050 [2014/05/26 16:01] – 作成 Satoshi Nakagawatext:kohon:kohon050 [2016/01/29 14:30] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
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 +古本説話集
 ====== 第50話 関寺の牛に依りて、和泉式部、和歌を詠む事 ====== ====== 第50話 関寺の牛に依りて、和泉式部、和歌を詠む事 ======
  
 **依関寺牛事 和泉式部詠和哥事 ** **依関寺牛事 和泉式部詠和哥事 **
  
-**関寺の牛に依りて、和泉式部、和歌を詠む事**((標題は二つあるが、一つの説話なので最初の「事」を削除し連結した。))+**関寺の牛に依りて、和泉式部、和歌を詠む事**((標題は二話になっているが、一つの説話なので最初の「事」を削除し連結した。))
  
 ===== 校訂本文 ===== ===== 校訂本文 =====
  
-今は昔、逢坂のあなたに、関寺といふ所に、牛(うし)仏現れ給ひて、よろづの人参りて見奉りけり。+今は昔、逢坂のあなたに、関寺といふ所に、牛仏現れ給ひて、よろづの人参りて見奉りけり。
  
-大きなる堂を建てて、弥勒を造り据ゑ奉りける。くれ、えもいはぬ大木ども、ただこの牛一つして運ぶわざをなんしける。繋がねども行き去ることもせず。ささやかに見目もかしげにて、例の牛の心ざまにも似ざりけり。+大きなる堂を建てて、弥勒を造り据ゑ奉りける。くれ、えもいはぬ大木ども、ただこの牛一つして運ぶわざをなんしける。繋がねども行き去ることもせず。ささやかに見目もかしげにて、例の牛の心ざまにも似ざりけり。
  
-入道殿をはじめまゐらせて、世の中におはしある人、参らぬはなかりけり。御門、東宮ぞえおはしまさざりける。+入道殿((藤原道長))をはじめらせて、世の中におはしある人、参らぬはなかりけり。御門((後一条天皇))、東宮((敦良親王・後朱雀天皇))ぞえおはしまさざりける。
  
-この牛、悩ましげにおはしければ、「うせ給ひぬべきか」とて、いよいよ参りむ。聖は御影像を描かせんと急ぎけり。西の京に、いと貴く行ふ聖の夢に見えける。「迦葉、仏道に涅槃のぞむなり。智者、貴く結縁せよ」とぞ見えたりける。いとど人参りけり。歌詠む人もありけり。和泉式部、+この牛、悩ましげにおはしければ、「うせ給ひぬべきか」とて、いよいよ参りむ。聖は御影像を描かせんと急ぎけり。西の京に、いと貴く行ふ聖の夢に見えける。「迦葉、仏道に涅槃のぞむなり。智者、貴く結縁せよ」とぞ見えたりける。いとど人参りけり。歌詠む人もありけり。
  
-    聞しより牛に心をかけながらまだこそ越えね逢坂の関+和泉式部、 
 + 
 +  しより牛に心をかけながらまだこそ越えね逢坂の関
  
 ===== 翻刻 ===== ===== 翻刻 =====
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   けりいつみしきふ   けりいつみしきふ
     聞しよりうしにこころをかけなから     聞しよりうしにこころをかけなから
-    またこそこえねあふさかのせき/b140 e70+    またこそこえねあふさかのせき/b140 e71
  
text/kohon/kohon050.1401087714.txt.gz · 最終更新: 2014/05/26 16:01 by Satoshi Nakagawa