text:kohon:kohon040
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| text:kohon:kohon040 [2014/09/16 01:51] – [第40話 高忠の侍の事] Satoshi Nakagawa | text:kohon:kohon040 [2025/12/15 11:23] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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| 今は昔、高忠(たかただ)といひける越前の守の時に、いみじく不合(ふがう)なりける侍の、夜昼まめなるが、冬なれど、帷子(かたびら)一つをなむ着たりける。 | 今は昔、高忠(たかただ)といひける越前の守の時に、いみじく不合(ふがう)なりける侍の、夜昼まめなるが、冬なれど、帷子(かたびら)一つをなむ着たりける。 | ||
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| 裸なる我が身にかかる白雪はうちふるへども消えせざりけり | 裸なる我が身にかかる白雪はうちふるへども消えせざりけり | ||
| - | と詠みければ、守、いみじく褒めて、着たりける衣(きぬ)を脱ぎて取らす。北方もあはれがりて、薄色の衣のいみしう香ばしきを取らせたりければ、二つながら取りて、かいわぐみて、脇に挟みて立ち去りぬ。侍に行きれば、居なみたる侍ども、かくと聞きてあさましがりけり。 | + | と詠みければ、守、いみじく褒めて、着たりける衣(きぬ)を脱ぎて取らす。北方もあはれがりて、薄色の衣のいみしう香ばしきを取らせたりければ、二つながら取りて、かいわぐみて、脇に挟みて立ち去りぬ。侍に行きれば、居なみたる侍ども見て、驚き怪しがりて尋ねけるに、かくと聞きて、あさましがりけり。 |
| さて、この侍に、三日見えざりければ、あやしがり、守、尋ねさせければ、その北山に貴き山寺に、いみじき聖ありけり。それがもとに行きて、この得たる衣を二つながら取らせて言ひけるやう、「年まかり老ひぬ。身の不合、年を追いてまさる。この生の事は、やくもなき身に候ふめり。後生だにいかでとおぼえて、法師にまかりならむと思ひ侍れども、戒(かひ)の師にたてまつるへき物の候はねば、今にえまかりならぬに、かく思ひかけぬ物を給ひたれば、限りなくうれしう思ふ給へて、これを布施に参らするなり。とく法師になさせ給へ」と涙にむせかへりて泣く泣く言ひければ、法師、いみじう貴とがりて、法師になしてけり。 | さて、この侍に、三日見えざりければ、あやしがり、守、尋ねさせければ、その北山に貴き山寺に、いみじき聖ありけり。それがもとに行きて、この得たる衣を二つながら取らせて言ひけるやう、「年まかり老ひぬ。身の不合、年を追いてまさる。この生の事は、やくもなき身に候ふめり。後生だにいかでとおぼえて、法師にまかりならむと思ひ侍れども、戒(かひ)の師にたてまつるへき物の候はねば、今にえまかりならぬに、かく思ひかけぬ物を給ひたれば、限りなくうれしう思ふ給へて、これを布施に参らするなり。とく法師になさせ給へ」と涙にむせかへりて泣く泣く言ひければ、法師、いみじう貴とがりて、法師になしてけり。 | ||
| - | さて後、行く方もなくて失せにけれど、有所知らずなりにけり。 | + | さて後、行く方もなくて失せにけれど、あり所も知らずなりにけり。 |
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| ===== 翻刻 ===== | ===== 翻刻 ===== | ||
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| せたりけれは二なからとりてかいわくみてわき | せたりけれは二なからとりてかいわくみてわき | ||
| にはさみてたちさりぬさふらひにゆきた | にはさみてたちさりぬさふらひにゆきた | ||
| - | れはゐなみたるさふらひともかくとききて | + | れはゐなみたるさふらひともみてをとろ |
| + | きあやしかりてたつねけるにかくとききて | ||
| あさましかりけりさてこのさふらひに三日 | あさましかりけりさてこのさふらひに三日 | ||
| みえさりけれはあやしかりかみたつねさせ/b112 e57 | みえさりけれはあやしかりかみたつねさせ/b112 e57 | ||
text/kohon/kohon040.1410799896.txt.gz · 最終更新: by Satoshi Nakagawa
