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text:karakagami:m_karakagami2-19 [2022/11/30 01:52] – 作成 Satoshi Nakagawatext:karakagami:m_karakagami2-19 [2022/11/30 01:56] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
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 斉の桓公は賢君なり。管仲といふ賢臣あり。公子糾の臣にて、桓公の鉤(こう)を射奉りし者なり。極なき讎敵((底本「アタカタキ」と読み仮名。))なれども、その賢才を惜しみて、捕はれを免しなだめて、政を授け給ひき。桓公の覇(は)となりて、九度(くたび)諸侯をあはせ、一度(ひとたび)天下を匡(たす)くることは、この管仲がはかりごとなり。 斉の桓公は賢君なり。管仲といふ賢臣あり。公子糾の臣にて、桓公の鉤(こう)を射奉りし者なり。極なき讎敵((底本「アタカタキ」と読み仮名。))なれども、その賢才を惜しみて、捕はれを免しなだめて、政を授け給ひき。桓公の覇(は)となりて、九度(くたび)諸侯をあはせ、一度(ひとたび)天下を匡(たす)くることは、この管仲がはかりごとなり。
  
-桓公、好みて紫(むさらき)の衣を着給ひしかば、国の中のたかき賤しき、上の好むところとて、きほひ着ければ、「費(つひ)なり」とて、桓公憂へ給ひしを、管仲が申しけるは、「君、紫は臭きことのはなはだしければ憎きよし、御物語あれ」となり。桓公、このよしを左右の人々に仰せられければ、三日の中に、天下に紫を着たるもの一人もなかりし。徳政とぞ申し侍りし。まことに、呉王剣客(けんかく)を好みしかば、百姓、((底本、「瘡」から本章最後まで本文を欠く。底本の異本注記により補う。))瘢瘡多かりき。楚王細腰を好みしかば、宮中餓死多かりき。かやうのことは御用意あるべきなり。+桓公、好みて紫(むさらき)の衣を着給ひしかば、国の中のたかき賤しき、上の好むところとて、きほひ着ければ、「費(つひ)なり」とて、桓公憂へ給ひしを、管仲が申しけるは、「君、紫は臭きことのはなはだしければ憎きよし、御物語あれ」となり。桓公、このよしを左右の人々に仰せられければ、三日の中に、天下に紫を着たるもの一人もなかりし。徳政とぞ申し侍りし。まことに、呉王剣客(けんかく)を好みしかば、百姓、((底本、「瘡」から本章最後まで本文を欠く。底本の異本注記により補う。))瘢瘡多かりき。楚王細腰を好みしかば、宮中餓死多かりき。かやうのことは御用意あるべきなり。
  
 また管仲、病する時、桓公、向かうて歎き惜しむ。次に問ひて曰く、「群臣の中に誰をか用ゐるべき」。管仲が申さく、「臣を知るは君に如くはなし」。公の曰く、「易牙(えきが)は如何(いかん)」。対(こた)へて曰く、「その子を殺して、君にかなへり。人の((「人の」は底本「人ニ」。文脈により訂正。))情にあらず」。公の曰く、「開方は如何」。対へて曰く、「親を倍(そむ)いて、君に適(かな)へり。人の情にあらず。近付きがたし」。公の曰く、「豎刁(じゆてう)は如何」。対へて曰く、自宮(じきう)して君にかなへり。人の情にあらず。親しみがたし」と申しける。((「瘡多かりき」からここまで、底本の異本注記による。)) また管仲、病する時、桓公、向かうて歎き惜しむ。次に問ひて曰く、「群臣の中に誰をか用ゐるべき」。管仲が申さく、「臣を知るは君に如くはなし」。公の曰く、「易牙(えきが)は如何(いかん)」。対(こた)へて曰く、「その子を殺して、君にかなへり。人の((「人の」は底本「人ニ」。文脈により訂正。))情にあらず」。公の曰く、「開方は如何」。対へて曰く、「親を倍(そむ)いて、君に適(かな)へり。人の情にあらず。近付きがたし」。公の曰く、「豎刁(じゆてう)は如何」。対へて曰く、自宮(じきう)して君にかなへり。人の情にあらず。親しみがたし」と申しける。((「瘡多かりき」からここまで、底本の異本注記による。))
text/karakagami/m_karakagami2-19.txt · 最終更新: 2022/11/30 01:56 by Satoshi Nakagawa