ユーザ用ツール

サイト用ツール


text:kara:m_kara012

差分

このページの2つのバージョン間の差分を表示します。

この比較画面へのリンク

次のリビジョン
前のリビジョン
text:kara:m_kara012 [2014/11/15 15:22] – 作成 Satoshi Nakagawatext:kara:m_kara012 [2020/03/05 15:19] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
行 4: 行 4:
 ===== 校訂本文 ===== ===== 校訂本文 =====
  
-  昔、男女あひ住みけり。年なども盛りにて、よろづの行く末のことまで浅からず契りつつありふるに、この夫、思ひのほかにはかなくなりにけり。+昔、男女あひ住みけり。年なども盛りにて、よろづの行く末のことまで浅からず契りつつありふるに、この夫、思ひのほかにはかなくなりにけり。
  
 その後、涙に沈みて、あるにもあらず思えけるを、「我も、我も」と懇(ねんご)ろに挑み言ふ人ありけれど、いかにも許さざりけり。 その後、涙に沈みて、あるにもあらず思えけるを、「我も、我も」と懇(ねんご)ろに挑み言ふ人ありけれど、いかにも許さざりけり。
行 10: 行 10:
 これを聞くにつけても、亡き影をのみ心にかけつつ、時の間も忘るるひまなくて、つひに命を失ひてけり。その屍(かばね)は石になりにける。 これを聞くにつけても、亡き影をのみ心にかけつつ、時の間も忘るるひまなくて、つひに命を失ひてけり。その屍(かばね)は石になりにける。
  
-ことはりや契りしことの固ければつひには石となりにけるかな+  ことはりや契りしことの固ければつひには石となりにけるかな
  
 この石をば、その里の人々、「望夫石」とぞいひける。一筋(ひとすぢ)に思ひ取りけむ心のありけん。有り難さも、この世の人には似ざりけり。 この石をば、その里の人々、「望夫石」とぞいひける。一筋(ひとすぢ)に思ひ取りけむ心のありけん。有り難さも、この世の人には似ざりけり。
text/kara/m_kara012.1416032571.txt.gz · 最終更新: 2014/11/15 15:22 by Satoshi Nakagawa