text:kankyo:s_kankyo021
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| ((底本「く侍へし」から始まるが、これは[[s_kankyo020]]の最後。))いまだむげにいとけなく侍りしほどのことにや、唐橋近き((底本「唐橋と」。諸本により訂正。))河原に、身まかれる女を捨てたること侍りき。 | ((底本「く侍へし」から始まるが、これは[[s_kankyo020]]の最後。))いまだむげにいとけなく侍りしほどのことにや、唐橋近き((底本「唐橋と」。諸本により訂正。))河原に、身まかれる女を捨てたること侍りき。 | ||
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| さても、うき世のならひなりければ、かかる身の有様を知らで、恨みに恨みを重ねて明かし暮す人もあるらむ。かやうにあだなる身の果てをしるべにて、「あるにもあらぬ身のゆゑに、いたづらに積りける罪こそ悔(くや)しけれ」など、思ひ続けて心を直さば、書き集むる心ざしたりぬとすべし。 | さても、うき世のならひなりければ、かかる身の有様を知らで、恨みに恨みを重ねて明かし暮す人もあるらむ。かやうにあだなる身の果てをしるべにて、「あるにもあらぬ身のゆゑに、いたづらに積りける罪こそ悔(くや)しけれ」など、思ひ続けて心を直さば、書き集むる心ざしたりぬとすべし。 | ||
| - | さても、この河原の屍(かばね)の主(ぬし)、いたうむざうなり。一筋に悲しく恨めしき心にてこそ侍りけめ。さらに、「よも良き所に生まれ侍らじかし」とあはれにて、いささか見侍りし人を、高き賤(あや)しきを選ばず、その名を書き集めて、忍びに傍らに置きて、「少し浮みぬべきにや」と思ひ給ふる密言(底本「密こん」と表記し、「こ」に「言」と傍書。)どもおろおろ読み侍る中に、生きたりし姿をこそ見ねども、「唐橋河原の死に屍(かばね)」と記し入れて、とひ侍るぞかし。 | + | さても、この河原の屍(かばね)の主(ぬし)、いたうむざうなり。一筋に悲しく恨めしき心にてこそ侍りけめ。さらに、「よも良き所に生まれ侍らじかし」とあはれにて、いささか見侍りし人を、高き賤(あや)しきを選ばず、その名を書き集めて、忍びに傍らに置きて、「少し浮みぬべきにや」と思ひ給ふる密言((底本「密こん」と表記し、「こ」に「言」と傍書。))どもおろおろ読み侍る中に、生きたりし姿をこそ見ねども、「唐橋河原の死に屍(かばね)」と記し入れて、とひ侍るぞかし。 |
| さても、この書き置く度(たび)に袖のしほるる藻塩草の中に、その顔などのきはやかにて、ただ今その人に向かへる心地のして、ところせきまでに思ゆるもあり。また、ほのかにも見し人などは、霞みたるやうに思ゆるも侍るべし。 | さても、この書き置く度(たび)に袖のしほるる藻塩草の中に、その顔などのきはやかにて、ただ今その人に向かへる心地のして、ところせきまでに思ゆるもあり。また、ほのかにも見し人などは、霞みたるやうに思ゆるも侍るべし。 | ||
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| 閑居友上 | 閑居友上 | ||
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text/kankyo/s_kankyo021.1436884321.txt.gz · 最終更新: by Satoshi Nakagawa
