text:ima:s_ima001
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| text:ima:s_ima001 [2014/12/12 19:43] – [第1話 ] Satoshi Nakagawa | text:ima:s_ima001 [2026/02/09 10:28] (現在) – [翻刻] Satoshi Nakagawa | ||
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| 大納言なりける人、内へ参りて、女房あまた物語りしける所にやすらひければ、この人の扇(あふぎ)を手ごとに取りて見けるに、弁の姿しける人を書きたりけるを見て、この女房ども、「鳴く音(ね)な添へそ野辺の松虫」と口々にひとりごちあへるを、この人聞きて、「をかし」と思ひたるに、「奥の方(かた)より、ただ今、人の来たるなめり」と思ゆるに、「これはいかに。『鳴く音な添へそ』と思ゆるは」と知りたり顔に言ふ音(おと)のするを、この今来たる人、しばしためらひて、いと人にくく、優なる気色(けしき)にて、「源氏の下襲(したがさね)の尻は、短(みじか)かるべきかは」とばかり、忍びやかに答ふるを、この男、あはれに心にくく思えて、「ぬしゆかしきものかな。誰ならん」とうちつけに浮き立ちけり。 | 大納言なりける人、内へ参りて、女房あまた物語りしける所にやすらひければ、この人の扇(あふぎ)を手ごとに取りて見けるに、弁の姿しける人を書きたりけるを見て、この女房ども、「鳴く音(ね)な添へそ野辺の松虫」と口々にひとりごちあへるを、この人聞きて、「をかし」と思ひたるに、「奥の方(かた)より、ただ今、人の来たるなめり」と思ゆるに、「これはいかに。『鳴く音な添へそ』と思ゆるは」と知りたり顔に言ふ音(おと)のするを、この今来たる人、しばしためらひて、いと人にくく、優なる気色(けしき)にて、「源氏の下襲(したがさね)の尻は、短(みじか)かるべきかは」とばかり、忍びやかに答ふるを、この男、あはれに心にくく思えて、「ぬしゆかしきものかな。誰ならん」とうちつけに浮き立ちけり。 | ||
| - | 堪ふべくも思えざりければ、後にはさらぬ人に尋ねければ、「近衛院の御母、ひがごと、かうの殿の御局」とささやきければ、いでや、理(ことわり)なるべし。 | + | 堪ふべくも思えざりければ、後にはさらぬ人に尋ねければ、「近衛院の御母((美福門院得子))、ひがごと、かうの殿の御局」とささやきければ、いでや、理(ことわり)なるべし。 |
| その後、たぐひなき物思ひになりにけり。 | その後、たぐひなき物思ひになりにけり。 | ||
| おほかたの秋の別れも悲しきに鳴く音な添へそ野辺の松虫 | おほかたの秋の別れも悲しきに鳴く音な添へそ野辺の松虫 | ||
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| ===== 翻刻 ===== | ===== 翻刻 ===== | ||
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| 心にくくおほえてぬしゆかしき物かなたれならんとうち | 心にくくおほえてぬしゆかしき物かなたれならんとうち | ||
| つけにうきたちけりたふへくもおほえさりけれは/s5l | つけにうきたちけりたふへくもおほえさりけれは/s5l | ||
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| + | https:// | ||
| 後にはさらぬ人にたつねけれは近衛院の御はは | 後にはさらぬ人にたつねけれは近衛院の御はは | ||
| 行 33: | 行 39: | ||
| になりにけり | になりにけり | ||
| おほかたの秋の別もかなしきに鳴ねなそへそ野辺の松虫/s6r | おほかたの秋の別もかなしきに鳴ねなそへそ野辺の松虫/s6r | ||
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text/ima/s_ima001.1418381007.txt.gz · 最終更新: by Satoshi Nakagawa
