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text:chomonju:s_chomonju460

古今著聞集 哀傷第二十一

460 鳥羽院かくれさせ給ひて御葬送の夜西行法師・・・

校訂本文

鳥羽院1)、かくれさせ給ひて御葬送の夜、西行法師、思はざるほどに高野より出でて、このことに参りあひて詠み侍りける、

  今宵こそ思ひ知らるれ浅からず君に契りのある身なりけり

同じ夜、詠み侍りける、

  道かはる御幸悲しき今宵かな限りの旅と見るにつけても

御送りの人々帰りけれども、一人残りゐて、明くるまで御墓に候ひて、とぶらひ参らせて、

  問はばやと思ひよらでぞ歎かまし昔ながらのわが身なりせば

翻刻

鳥羽院かくれさせ給て御葬送の夜西行法師思は
さるほとに高野より出てこの事にまいりあひてよみ侍ける
 こよひこそ思ひしらるれあさからす君に契のある身なりけり
おなじ夜よみ侍ける
 道かはる御ゆきかなしきこよひ哉かきりの旅とみるにつけても
御送の人々帰けれともひとりのこりゐてあくるまて/s362l

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/362

御墓に候てとふらひまいらせて
 とははやと思よらてそなけかまし昔なからの我身なりせは/s363r

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/363

1)
鳥羽上皇
text/chomonju/s_chomonju460.txt · 最終更新: 2020/08/04 21:43 by Satoshi Nakagawa