text:chomonju:s_chomonju272
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text:chomonju:s_chomonju272 [2020/04/05 17:36] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:chomonju:s_chomonju272 [2020/04/05 17:37] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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保延元年(崇徳((崇徳天皇)))正月四日、朝覲行幸に、多忠方、胡飲酒(こんじゆ)をつかうまつりけるに、この曲たびたび御覧ぜられつるに、このたびことにすぐれたるよし、おほやけ・わたくし沙汰ありけり。左大臣(花山家忠((藤原家忠)))、勅を承りて、一階を賜(た)ぶよし、仰せ下されければ((底本「ば」なし。諸本により補う。))、忠方、再拝して、舞ひて入りけり。 | 保延元年(崇徳((崇徳天皇)))正月四日、朝覲行幸に、多忠方、胡飲酒(こんじゆ)をつかうまつりけるに、この曲たびたび御覧ぜられつるに、このたびことにすぐれたるよし、おほやけ・わたくし沙汰ありけり。左大臣(花山家忠((藤原家忠)))、勅を承りて、一階を賜(た)ぶよし、仰せ下されければ((底本「ば」なし。諸本により補う。))、忠方、再拝して、舞ひて入りけり。 | ||
- | かかるほどに、「忠方、右舞人(うまひびと)といへども、左舞(さまひ)を奏して勧賞(けんじやう)をかうぶる。左、必ず賞を行なはれずとも何事かあらんや。また、狛光則・多忠方いづれ上臈たるぞや」のよし、議定ありければ、左衛門督雅定卿((源雅定))申されけるは、「光則・忠方同日に勧賞をかぶりて叙爵す。多は朝臣(あそみ)なるによりて内位に叙す。狛は下姓(げしやう)によりて外位に叙す。忠方上臈たるべし」とぞ申されける。「勧賞のこと、あるいは舞の善悪によるべし。忠方すでによく舞ふによりて賞をかぶる。光則よく舞はば行なはるべし。幽(いう)ならずは、行はるべからす」と申しけり。あるいは、「左右ともに行なはるべきよし」をも申しけり。 | + | かかるほどに、「忠方、右舞人(うまひびと)といへども、左舞(さまひ)を奏して勧賞(けんじやう)をかうぶる。左、必ず賞を行なはれずとも何事かあらんや」。また、「狛光則・多忠方いづれ上臈たるぞや」のよし、議定ありければ、左衛門督雅定卿((源雅定))申されけるは、「光則・忠方同日に勧賞をかぶりて叙爵す。多は朝臣(あそみ)なるによりて内位に叙す。狛は下姓(げしやう)によりて外位に叙す。忠方上臈たるべし」とぞ申されける。「勧賞のこと、あるいは舞の善悪によるべし。忠方すでによく舞ふによりて賞をかぶる。光則よく舞はば行なはるべし。幽(いう)ならずは、行はるべからす」と申しけり。あるいは、「左右ともに行なはるべきよし」をも申しけり。 |
光則、七旬に及べり。哀憐ありけるにや、つひに散手(さんじゆ)を奏する時、一階を給ひてけり。 | 光則、七旬に及べり。哀憐ありけるにや、つひに散手(さんじゆ)を奏する時、一階を給ひてけり。 |
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