text:chomonju:s_chomonju187
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text:chomonju:s_chomonju187 [2020/03/11 15:20] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:chomonju:s_chomonju187 [2020/03/11 15:23] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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- | 中納言通俊卿((藤原通俊))の子に、世尊寺阿闍梨仁俊とて、顕密知法にて尊き人おはしけり。鳥羽院に候ひける女房、「仁俊は女心あるものの、そら聖(ひじり)だつる」など申しけるを、阿闍梨かへり聞きて、口惜しく思ひて、北野((北野天満宮))に参籠して、「この恥すすぎ給へ」とて、 | + | 中納言通俊卿((藤原通俊))の子に、世尊寺阿闍梨仁俊とて、顕密知法にて尊き人おはしけり。鳥羽院((鳥羽天皇))に候ひける女房、「仁俊は女心あるものの、そら聖(ひじり)だつる」など申しけるを、阿闍梨かへり聞きて、口惜しく思ひて、北野((北野天満宮))に参籠して、「この恥すすぎ給へ」とて、 |
あはれとも神々ならば思ひ知れ人こそ人の道を断つとも | あはれとも神々ならば思ひ知れ人こそ人の道を断つとも | ||
- | と詠みたりければ、かの女房((「女房」は底本「如房」。諸本により訂正。))、赤き袴ばかりを着て、手に錫杖を持ちて、「仁俊に虚言(そらごと)言ひつけたる報ひよ」とて、院((鳥羽天皇))の御前に参りて、舞ひ狂ひければ、「あさまし」と思し召して、北野より仁俊を召し出だして見せられければ、神恩のあらたなることに涙を流して、一度(ひとたび)慈救呪をみてければ、女房、もとの心地になりにけり。院、いみじく思し召して、薄墨(うすずみ)といふ御馬を賜びてけり。 | + | と詠みたりければ、かの女房((「女房」は底本「如房」。諸本により訂正。))、赤き袴ばかりを着て、手に錫杖を持ちて、「仁俊に虚言(そらごと)言ひつけたる報ひよ」とて、院の御前に参りて、舞ひ狂ひければ、「あさまし」と思し召して、北野より仁俊を召し出だして見せられければ、神恩のあらたなることに涙を流して、一度(ひとたび)慈救呪をみてければ、女房、もとの心地になりにけり。院、いみじく思し召して、薄墨(うすずみ)といふ御馬を賜びてけり。 |
===== 翻刻 ===== | ===== 翻刻 ===== |
text/chomonju/s_chomonju187.1583907659.txt.gz · 最終更新: 2020/03/11 15:20 by Satoshi Nakagawa