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text:chomonju:s_chomonju157

古今著聞集 和歌第六

157 西行法師法勝寺の花見にまかりけるに・・・

校訂本文

西行法師、法勝寺の花見にまかりけるに、その日、上西門院1)の女房同じく見ける中に、兵衛局2)ありと聞きて、「昔の花見の御幸思ひ出で給ふらん」など言ひて、その日、雨の降りたりければ、かくぞ申しつかはし侍りける。

  見る人に花も3)昔を思ひ出でて恋ひしかるらし雨にしほるる

返し、兵衛局、

  いにしへをしのぶる雨と誰か見ん花に昔の友しなければ

翻刻

西行法師法勝寺の花みにまかりけるに其日上西門院
の女房おなしくみける中に兵衛局ありとききて昔の花
見の御幸思いて給らんなといひて其日雨のふりたりけれは
かくそ申つかはし侍りける
 見る人に花も花も昔をおもひ出てこひしかるらし雨にしほるる
返し兵衛局
 いにしへをしのふる雨とたれかみん花に昔の友しなけれは/s119l

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/119

1)
鳥羽天皇皇女統子内親王
2)
上西門院兵衛
3)
「花も」は底本「花も花も」。衍字とみて削除。
text/chomonju/s_chomonju157.txt · 最終更新: 2020/02/25 21:17 by Satoshi Nakagawa