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rhizome:醒睡笑

醒睡笑

せいすいしょう

成立

近世初期の笑話集安楽庵策伝の作。

成立の事情は序跋によって書かれている。

序文によると、策伝は子供のころから反故のはしにおもしろい話を書きためてお り、それを読むと眠けが醒めて笑えるので、醒睡笑と名付けたとある。

これが、元和9年(1623)となっているので、この年には現在のかたちがほぼできあがっ ていたと考えられる。

また、跋文と板倉重宗の奥書により寛永5年(1628)3月に板倉父子への献呈がな されたことが分かる。

策伝は、この作品により、しばしば落語の元祖ともいわれる。

内容

全8巻からなり、42のテーマに笑話が分類されている。 説話の数は広本で1040話前後。

宇治拾遺物語』『沙石集』『元亨釈書』などを出典とする説話もあるが、策 伝の聞き書きによると思われるものが多い。

なお、出典の認められる説話は、聞き書きによるものであるという説と、書承 であるという説がある。

巻之一謂へば謂はるる物の由来・落書・ふはとのる・鈍副子(どんふす)・無智の僧・祝ひすぎるも異なもの
巻之二名付け親方・貴人の行跡・躻(うつけ)・吝太郎(しはたらう)・賢だて
巻之三文字知り顔・不文字・文の品々・自堕落・清僧
巻之四聞えた批判・いやな批判・そでない合点・唯あり
巻之五きゃしゃ心・上戸(じょうご)・人はそだち
巻之六児の噂・若道(にゃくだう)知らず・恋のみち・詮ない秘密・推はちがうた・うそつき
巻之七思の色を外にいふ・いひ損ひはなほらぬ・似合うたのぞみ・廃忘(はいまう)・謡・舞
巻之八頓作・平家・かすり・秀句・茶の湯・祝ひすました

諸本

広本

東大図書館本・静嘉堂文庫本・東大国語研究室本・内閣文庫本など。いずれも近世後期の写本

略本

抜粋本で、寛永無刊記版本以下、慶安元年再版本、万治元年三版本などの版本が九版行われた。

参考文献

電子テキスト

影印

  • 古典文庫153『醒睡笑(寛永板)』(昭和35年4月)

テキスト

  • 岩波文庫『醒睡笑』上・下(鈴木棠三・岩波書店・上 1986年7月、下 1986年9月)
  • 角川文庫『醒睡笑』上・下(鈴木棠三・角川書店・上 昭和39年8月、下 10月)

研究書

  • 関山和夫『安楽庵策伝和尚の生涯』(法蔵館・1990年5月)
    • 『安楽庵策伝―咄の系譜―』(青蛙房)の再刊。
  • 鈴木棠三『安楽庵策伝ノート』(東京堂出版・昭和48年9月)

rhizome/醒睡笑.txt · 最終更新: 2022/10/06 01:34 by Satoshi Nakagawa