大和物語
監の命婦、朝拝の威儀の命婦にて、出でたりけるを、弾正の皇子1)、見給ひて、にはかにまどひ懸想(けさう)じ給ひけり。
御文(おんふみ)ありける御返事に、
うちつけにまとふ心と聞くからになぐさめやすくおもほゆるかな
皇子の御歌はいかがありけん、忘れにけり。
けむの命婦朝拝のゐきの命婦に ていてたりけるを弾正の御こみ給 てにはかにまとひけさうしたまひ けり御ふみありける御返事に うちつけにまとふこころときく からになくさめやすくおもほゆるかな 御この御うたはいかかありけんわすれ/d39r
にけり又をなし御こにをなし女/d39l