大和物語
また同じ中納言1)、蔵人にてありける人の、加賀の守にて下りけるに、別れ惜しみける夜、中納言、
君が行く越の白山(しらやま)知らずともゆきのまにまに跡はたづねん
となん、詠み給ひける。
とよみたまひける又おなし中納言 蔵人にてありけるひとのかかのかみ にてくたりけるにわかれをしみ/d37l
ける夜中納言 きみかゆくこしのしらやましらす ともゆきのまにまにあとはたつねん となんよみたまひける/d38r