大和物語
恵秀といふ法師の、ある人の御験者つかうまつりけるほどに、とかく世の中に言ふことありければ、詠みたりける。
里はいふ山にはさはぐ白雲(しらくも)の空にはかなき身とやなりなん
とありける。
また、この人1)の御もとに詠みたりける。
朝ぼらけわが身は庭のしもながら何を種にて心生ひけん
ゑしうといふ法師のあるひとの御験者/d22l
つかうまつりけるほとにとかくよの なかにいふことありけれはよみたりける さとはいふ山にはさはくしら雲の そらにはかなき身とやなりなん とありける又このひとの御もとによみ たりける あさほらけ我身はにはのしもな からなにをたねにてこころをひけん/d23r