八日、なほ川上(のぼ)りになづみて、鳥飼(とりかひ)の御牧(みまき)といふほとりに泊まる。今宵、船君(ふなぎみ)1)、例の病おこりて、いたく悩む。
ある人、あざらかなる物持て来たり。米(よね)して返りごとす。男ども、ひそかに言ふなり。「『飯粒(いひぼ)してもつ2))釣る』とや」。かうやうのこと、ところどころにあり。
今日、節忌(せちみ)すれば、魚(いを)不用。
八日なほかはのほりになつみて とりかひのみまきといふほとりに とまるこよひふなきみれいのやま ひおこりていたくなやむあるひと/kd-45r
あさらかなるものもてきたりよね してかへりことすをとこともひ そかにいふなりいひほしてもつつ るとやかうやうのことところところに ありけふせちみすれはいを ふ用/kd-45l