何の舞ひとかやに入りて、花やかなるまじらひをするにつけても、「あはれ、思ふことなくて、かかるまじらひをもせば、いかにまめならまし」とうち覚えて、また、さしも恨めしくあたれば、見るらんこともつつましくて、
ふる袖は涙に濡れて朽ちぬるをいかに立ち舞ふわが身なるらん
なにのまひとかやにいりて はなやかなるましらひを するにつけてもあはれ思事 なくてかかるましらひをも せはいかにまめならましと うちおほえてまたさしも/s33r
うらめしくあたれは見る らんこともつつましくて ふる袖は涙にぬれてくちぬるを いかにたちまふわか身なるらん/s33l