目次

隆房集

73 ふる袖は涙に濡れて朽ちぬるをいかに立ち舞ふわが身なるらん

校訂本文

<<PREV 『隆房集』TOP NEXT>>

何の舞ひとかやに入りて、花やかなるまじらひをするにつけても、「あはれ、思ふことなくて、かかるまじらひをもせば、いかにまめならまし」とうち覚えて、また、さしも恨めしくあたれば、見るらんこともつつましくて、

  ふる袖は涙に濡れて朽ちぬるをいかに立ち舞ふわが身なるらん

<<PREV 『隆房集』TOP NEXT>>

翻刻

 なにのまひとかやにいりて
 はなやかなるましらひを
 するにつけてもあはれ思事
 なくてかかるましらひをも
 せはいかにまめならましと
 うちおほえてまたさしも/s33r
 うらめしくあたれは見る
 らんこともつつましくて
ふる袖は涙にぬれてくちぬるを
いかにたちまふわか身なるらん/s33l

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100002834/33?ln=ja