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醒睡笑 巻8 頓作

58 西行法師修行の時津の国七瀬の川にて麦粉を食ふとて・・・

校訂本文

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西行法師修行の時、津の国1)七瀬の川にて、麦粉(むぎこ)を食ふとて、しきりにむせばれけるを、馬上より侍の見付け、

  この河は七瀬の川と聞くものをお僧を見れはむせ2)わたるかな

時に西行の返歌、

  この河は七瀬の川と聞くものを召したる馬はやせ3)わたるかな

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翻刻

一 西行法師修行の時津の国七瀬の河にて
  麦粉をくふとてしきりにむせはれけるを馬
  上より侍の見つけ
   此河は七瀬の河と聞物を/n8-25r
    お僧を見れはむせわたるかな
  時に西行の返哥
   此河は七瀬の河と聞物を
    めしたる馬はやせわたるかな/n8-25l
1)
摂津国
2)
六瀬・噎せ
3)
八瀬・痩せ