醒睡笑 巻7 舞
人ありて言ふやう、「判官殿1)と弁慶とは何の子細ありて仲がよかりしぞ、不審がはれなんだに、今日八島の舞を聞きて理がすんだ」。「何とすんだぞ」。「弁慶は判官殿の若衆であつたもの」。「なぜに」と問へば、「まぎれもないことよ。『判官武蔵を召され』と隠さずにまづ最初に書きたるは」。
一 人ありていふやう判官(ほうぐわん)殿と弁慶とは何の 子細(しさい)ありて中がよかりしぞ不審(ふしん)かはれな むたにけふ八嶋(やしま)の舞を聞て理がすんたな/n7-59l
にとすんたぞ弁慶(へんけい)は判官殿のわかしう てあつた物なぜにととへは紛(まきれ)もない事 よ判官(はうくはん)武蔵(むさし)をめされとかくさずにまつ さいしよに書たるは/n7-60r