醒睡笑 巻4 そでない合点
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盗人、物を取りすまして、人なき所に集まり、それぞれに資財(しざい)を分けどりにしけるが、「ただ今までありつる身のぐひ1)が見えぬ。異なことや」と言ふ。一人、面(つら)を振り振り、「あら不審や。誰もこのうちに盗みさうなる者はないに」と。
一 盗人物をとりすまして人なき所にあつ まりそれそれに資財(しさい)をわけどりにしける が唯今まてありつる身のくひか見えぬいな 事やといふ一人つらをふりふりあらふしん や誰もこのうちにぬすみさうなる者は ないにと/n4-42l