醒睡笑 巻2 吝太郎(しはたらう)
若衆(わかしゆ)あり。念者(ねんじや)に向ひて、「今夜(こよひ)の夢に、鶏のひよこを一つ金にて作り、われにたびたると見た」とぞ語られける。「さてさて、われもただ今の夢に、そのごとくなる物を参らせたれば、いやと言うて、それよりやがてお返しありたと見たことよ」。
一 若衆あり念者にむかひて今夜の夢に 鶏のひよこを一つ金にてつくりわれにたび たると見たとぞかたられけるさてさてわれも/n2-43l
ただいまの夢に其ことくなる物を参らせ たればいやといふてそれよりやかてお返し ありたと見たことよ/n2-44r